もしかしたら寄付した感覚すらないかも?
福田:次は小暮真久さんが主宰されてるNPO法人『TABLE FOR TWO』ですね。これは「10億人の太った子どもと、10億人の明日食べる物がない子どもの食卓を交換すれば、世の中の食糧不足はなくなるのではないか」という発想から生まれたプロジェクトです。おにぎりを食べる投稿をSNSに上げると、企業が1投稿につき100円寄付しています。2016年は、私の会社のほか、伊藤園、イオン、西友など、13社が協賛しています。今も継続中なので、おにぎり食べる時に、「♯(ハッシュタグ)おにぎりアクション」と入れていただくと、私どもから100円コニカのほうに寄付される仕組みになっています。
*2016年11月30日に2016年の回は終了
http://jp.tablefor2.org/campaign/onigiri/
こういうふうに寄付が気軽に手軽にできるようなったのは、ソーシャルメディアの発達がベースにあろうかと思います。「タイガーマスク基金」は私が設立発起人になっていますが、『あしたのジョー』や『巨人の星』、『タイガーマスク』などのコミックを配信しているご縁で、原作者の梶原一騎先生の奥さま、高森篤子さんから相談を受けたのがきっかけです。
いつでしたか、年末に、群馬県にある孤児のハウスにランドセルが寄付されたことがありましたよね。昔は寄付する人って月光仮面って名乗っていたんですが、その方は伊達直人って『タイガーマスク』の主人公の名前で寄付されたんです。それに高森さんがインスピレーション受けて「今やらなきゃダメだ。タイガーマスク基金をつくりましょう」ということで、最初のファンデーションは、高森さんが拠出されたんですけど、その後、運営していくに当たり、「ソニー・デジタル社はLINEのスタンプをたくさん作っているから、そこの収益を全部寄付しましょう」という提案をしました。これも1ダウンロード100円で、今も継続して寄付を行ってます。ネットのいいところって、在庫なく、ずっとそこにあり続けられることなんですね。みんなが知っている『タイガーマスク』というキャラクターと結び付けることによって、趣旨に賛同してもらいやすい、気軽に参加いただける。もしかしたら寄付した感覚すらないかもしれませんね。単にタイガーマスクのスタンプ買ったら、それが出てくるということですから。他にもこのパターンの寄付を3つくらいやっています。
クラウドファンディングやアナログ版の寄付も!
福田: 日本でも本格的なクラウドファンディングのプラットフォームが始まりました。2013年末に、把瑠都(元 大関)から「震災地域の子どもたちと、子ども相撲やりたい」と相談され、始まったプロジェクトが「角界史上初! 断髪式に参加できる」です。大関がちょうど引退する前だったんですね。僕、相撲については全く素人なので、「断髪式っていうのはどういう人に出る権利があるんですか?」と訊いたら、女性は土俵に上がれないそうですね。あと入れ墨がある方も駄目なんですが、それ以外は特にルールないと聞いたもんですから、「じゃあ、震災支援のために、1口10万円で10名さまに断髪式に出てもらおう」ということでやりましたら、その他にもいろんな特典があったんですけど、3日間で125万円も集まって、無事東北で興行ができました。
http://shootingstar.jp/projects/493
あと、「アート購入で世界を救う」って毎年夏にスマホ開催してるアートイベントがあります。LINEでスタンプ買ってもらうのがデジタル版だとすると、寄付のアナログ版ですよね。土屋秋恆という水墨画家の個展なんです。彼が描いたものを購入していただき、それを寄付するという単純なものです。毎年テーマは違うんですけが、もう4年継続してやっています。寄付の送り先には、福島の子どもたちにコミュニティーの場をつくろうという「KAKE COMIドットコム」とか、フィリピン北部の北マニラで、ギャングになってしまった子どもたちに、奨学金で教育の機会を与えたいと活動している「サントニーニョ奨学金基金」とか。あと、モザンビークで女性と子どもに対して教育をしているプラ子ちゃんが行っている「アシャンテ・ママ」の支援だとか、そういうこともやっています。企画はリアルの個展なんですが、集客は全てソーシャルメディアを活用しているのが特徴です。過去、毎回30点以上の作品が完売しております。
ICTの力をプラスして現実の問題を解決する
福田: 最近は、川口加奈ちゃんが運営している大阪のNPO法人「Homedoor」にも協力しています。ここはホームレスの方の就労支援をしていて、ごみ拾いだとか、パンクの修理だとか、20種類くらいの仕事を開発しているのですが、加奈ちゃんに「いくら社会復帰してもらうためとはいえ、職種としてはもう十分じゃない?」と聞いたら、「ホームレスといえども、選択肢がある社会をつくりたいから、もっともっと開発したい」って言われて、刺激を受けました。人手不足に悩む地元の飲食店と、地元に精通したホームレスをマッチングさせて、出前を受け付けていない食堂に出前をしてもらうっていうスマホアプリを準備中です。こちらはGoogle「インパクトチャレンジジャパン」というプライズを貰って、資金が出来たようなので、うちでアプリとか、そのシステムをつくっていて、もうまもなくサービスが始まると思います。彼女自身、1年間で170人くらいのホームレスを世に送り返しているっていう、強力なパワーの持ち主なんですが、アプリをつくることでさらに支援を進めることができる。今のUberとかAirbnbとかもそうですよね。現実の問題をスマートフォン、インターネットと組み合わせることによって解決していくという、このアプリもその一つの事例になろうかと思います。以上です。ありがとうございます。
河内山: ありがとうございます。続いて並河さんよろしくお願いします。