「テレビ」というフレームを壊す
福田:角田さんは、自分で感じる、その周辺思考を刺激してくれる面白い著書をたくさん出されているから、読者の方にはぜひ読んでいただきたい。
角田:ありがとうございます。じつは、新書が出たばかりで。『13の未来地図 フレームなき未来の羅針盤』(ぴあ)というタイトルです。「情報革命」という、世界の価値基準を大きく変える革命によって、これまでの社会で通用していた「既存の構造=フレーム」がなくなるというテーマなんですけど。だから全て、「フレーム」と名付けたんですよ。
福田:拝読します!
角田:これまでみたいに「強固なフレーム」の中で社会がうまく回っているのであれば、「その中で業績を上げよう!」でいいんですが、今はそのフレーム自体が壊れてきているじゃないですか。だから、新たなフレームを求めなきゃいけないと考えがちなんですけども。でも、「CDの売り上げが減ったどうしよう」とか、「書籍の売り上げが減ったどうしよう」とか言うけど、CDや書籍というフレームをやめりゃいいじゃんという。
そのフレームでいうと、テレビというのは基本的に、おもしろい人しか出しちゃいけないんですね。その「おもしろい人」が「おもしろい」というのには2種類あって。前者は「おもしろいことを言う人」で、後者は「おもしろいことと考えている人」です。でもテレビって、前者の「おもしろいことを言う人」しか出られない。福田:あぁ、なるほど。
角田:なぜかというと、おもしろいことを考えていると、説明に時間かかるから。つまり、フリオチで「角野卓三じゃねえよ!」ってパンとツッコミが出て来るみたいな、そういう人しか出られないんですよ。でも僕は、そのこと自体、なんだかつまらないなと思っていて。
福田:数々のヒットバラエティー番組を手がけられた角田さんが。
角田:TBSにいた時は、『さんまのスーパーからくりテレビ』とか『中居正広の金スマ』『EXILE魂』とか、人気者の番組をずっとプロデューサーとして作っていたんですけども、それってつまり、視聴率を取らなきゃいけないわけですよ。そうすると、さっきの話でいうと「おもしろいことを言う人」しか出せない。でも僕はもう、おもしろいことを言う人はつまらなくて。
福田:抜けちゃいましたね。ベテラン演歌歌手の域に行きましたね。
角田:全然おもしろくない。でも福田さんは、考えていることもおもしろいですけど、言ってることもおもしろい。ここがポイントで、おもしろいことを考えてる人って、おもしろいことを言うこともできるんですよ。だから、おもしろいことを考えいてる人を出したほうがいいやと今は思っています。『オトナの!』という番組はTBSにいた時からやってんですけど、じつはTBSの編成予算からお金をもらわずにやっていたんです。そんな独立採算制の番組、たぶんテレビ局の中でもそれしかなかったので、僕は「インディペンデンス番組」って呼んでいて。自分がプロデューサーで、スポンサーのお金をかき集めて、映画を作るような感じで番組を作っていたので、そうなると視聴率は関係ないんですよ。そうすると、おもしろいことを考えている人だけ出せるっていう。
福田:おもしろい。自分ブランドですね。局は関係なくて、角田さんブランドの番組にいったわけですね。
角田:はい。それでもTBSだと深夜の26時の枠とかしかいただけなくって、だったらもう辞めちゃえばいろんなところでやれるなと思って。それで今、TOKYO MXとかテレ東とか、そういうとこでやっています。