本当にやりたいことは、「フレーム」を外した時に見えてくる
福田:経済誌「Forbes」が金持ちのトップテン特集をやると、ずっとビル・ゲイツが1位なんですね、円に換算すると大体10兆円くらいですね。で、この前初めてその「Forbes」が、仮想通貨ビリオネーラーの特集を出したんですよ。円でいうと、1位の人は8500億くらい。でも当然、リアル金持ちの1兆には届かないんです。
角田:その人たちは名前も知らないぐらいの感じですか。
福田:全く知らないです。もちろん換算すると8500億円ねっていう話なんですけど。でも僕は仮想通貨の価値については、もう「違う星で生きるためのお金」だと思っているんです。
角田:エリアが違うんですね。
福田:違うんですよ。違う星で生きているから、交わることはないんですよ。何百光年も離れた世界の話なんです。そういうふうに思っていて。だからその8500億円の人を頂点にして、「なんか新しい世界を作ろうよ」と思う人は、仮想通貨に参加する権利がある。つまり、貨幣って、お金ってなんだろうと考える時、そのよりどころになるのは、「自分は何のために生まれてきて、何をしたいんだろう」ということに尽きると思うんです。だから、そういう風に思う人が、新しい仮想通貨という発想でものづくりをすればいいというのが、僕の最近の雑感です。
角田:本当にそうですね。
福田:ずっとITに関わってきて、IT業界を愛しているからこそ言うんですけど、みんな年商10億ぐらいでは、まずは上場するんですよね。で、僕はそういう社長に会って「おめでとう」と同時に、「これから何するの」と聞くと、ほぼみんな「一部上場を目指します!」って言う。いや、そういうことじゃないと。さっきの角田さんの「東大出て、TBSに入って、なぜ辞めるんだ」という話と同じなんですよ。受験戦争と一緒で、大学でも企業でも、やりたいことがあって入っていないなら、3年後ぐらいにはもうそのマーケットにあなたはいないよってことなんです。
角田:僕がTBSを辞めた時に思ったのも、ちょっとそれに近くて。大学を出てテレビ局に入社して、ADやってロケDやって、枠Dやって、総合演出やって、Pやってと、全部学年が上がる感じでやってきたんです。僕は46歳で会社を辞めたんですけど、きっと「中学何十何年生」くらいで、やっと高校生になれたんだなってちょっと思った。
福田:つまり、ずっと輪切りできたと。
角田:そう思っていたんです。それに、そういう意味でまじめなんですね。大学4年生ではこれをやり、AD1年生ではこれをやりっていうのを着実にやっていく道筋が、多分3.11で崩れたんだなと思うんですよね。
福田:ある日これまでのフレームが崩れて、ずっと信じてきた昨日の連続はもう来ないって分かった時に、よくよくマーケットを見ると、自由に気軽に生きてる人たちって、結構いますよね。
角田:どうやって生きているのかなと思うのと、羨ましい気持ちがあります。