コンサルティングに必要なのは「シンプルな理屈
三谷:でも教えることのハードルあがったのは、社会人になってからですね。当時BCGには新人教育のプログラムがほとんどなかったので、まずは自分たちを鍛えるための教育プログラムづくりからスタートです。当時はBCGといっても誰も知らない会社でしたしね。
福田:あの当時で? バブル時代のちょっと前ぐらいですよね?
三谷:そうですね。でも人にBCGっていうと「注射の会社?」なんていわれてました。堀紘一さん(現・ドリームインキュベータ会長)がパートナーになった直後くらいで東京オフィスの規模も、コンサルタントが30人程度。
福田:なるほど、そういう時期だったんですね。
三谷:たまたま私は学生時代、大前研一さんの『企業参謀』(1975年プレジデント社)を読んで、経営コンサルティングという業種を知りました。「こんな屁理屈をこねる仕事があるんだ」って(笑)
福田:僕もブランド・コンサルタントという職業ですが、たしかにコンサルティングって、屁理屈といえばそうで、面白いビジネスですよね(笑)
三谷:いろいろ考えて、新卒で外資系のコンサルティング会社に入ったんですけども、私は元々理系で、大学も物理学科。核融合がどうだとか、素粒子がどうだとか、そんなことを勉強していましたずっと文系就職は不向きだと思っていましたね。人間的なごちゃごちゃした関係が、好きではなかったので。
福田:それなのに、なかなか俗人的な仕事を選ばれました(笑)
三谷:そうそう(笑) そうなんですけど、理系・文系でいうと、成績自体は文系の方がよかったんです。本をめちゃくちゃ読んでいたからだと思うんですけど国語の成績は抜群。浪人時代からはヒマに任せて歴史小説や企業小説も読み漁ってました。だから文系領域にも関心はあって、核融合より相当複雑そうなこの社会やビジネスを、果たしてどうにかできるものなのか?と思いました。
福田:ビジネスは人間そのものですからね。
三谷:関心はあったので、ちょっと覗いてみたかったんですね。で、BCGの説明会に行ったら、やっぱり凄く面白い人たちがいて「この人たちには絶対に敵わない」と思えたし、文系の仕事の中ではもっとも理系に近い仕事だと感じました。
福田:コンサルティングは文系の中でも、理屈が大事な仕事ですしね。
三谷:そう、理屈がダイジ! 分析も大切で、勢いと人間関係だけではダメですよね。ロジックやデータがしっかりしていることとか、面白いこと見つけられるファインディング能力も必須です。
福田:たしかに、理系に近いですね! BCGには何年ぐらい、いらっしゃったんでしたっけ?
三谷:約9年半ですね。同期入社6人の中で、最後まで残ったのが私でした。そのまま続けていてもよかったと思うんですけど、たまたま知り合いから電話があって、今コンサルティングの戦略チームをある会社で作っていると。事業の立ち上げ期を手伝うのも面白そうだなと思って、転職することにしました。