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辞めるにも戦略が必要

会社を50代で辞めて勝つ! 逆算のキャリア戦略 ~WASEDA NEOトークセッション~ Talked.jp

福田:いま現在は「100年時代」とかいろんな背景があって、会社を辞めるに足る合理的な理由があると思えるんですけども…。でも僕は40代後半になるまで何も思ってなくて、心の準備も何にもなくて。意外に思われるかもしれませんけども、リンダ・グラットンさんの『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』が出た辺りでちょっとムラムラきたかなという。僕は『ソニー・デジタルエンタテインメント』というデジタルの会社の代表を、社内ベンチャーで11年間やっていて、さらにその前は『ソニー・ピクチャーズ』という映画会社にいました。いずれも大きい会社から社内ベンチャーになったので心の準備はできそうだったんですけれども、実際に「辞める」となると、ご著書にもありましたが、いろんな手続きがまあ、いっぱいあるんですよ。特に円満で辞めなきゃいけないとなると2年かかりました。「辞める」っていうこと自体が、もう大事業なんですよね。

高田:たしかにそうですね~。僕の場合は55歳で決断しようとは思っていましたので、本にも書いたように、「それまでに、会社を辞めても大丈夫な人材になろう」というのはありました。具体的に何か用意していたわけではないですけれども、会社の色だけに染まりたくないなとか、社外の人たちと交流を持ちたいなとか、自分なりの強みを持ちたいなとか。

福田:外部の人と接するマーケティングの仕事が多かったとか、環境に恵まれておられたのはあるかもしれませんね。うちは父が電通マンで、定年までずっと電通マンだったんですよ。電通が楽しくて楽しくてしょうがなくて、幼少期から父親の話を聞く度、「電通ってどんなに楽しい会社なんだろう」と思っていました。で、今は85歳なんですけども、たまに会うと「いや~、インターネットが出る前に引退出来てよかったよ」と。戦後の一番いい状態のモデルで終わっている。僕らだってこのインターネット革命の時代に生まれようと思って生まれたわけじゃないんですけども、僕らの時代でも「いい大学を出て、三菱商事に勤めたほうがいいよね」っていう成功の導線はありましたが、その導線しかなかったですよね。

高田:僕も三菱商事を受けて落ちましたよ。希望リストの上から順番に受けて、けっこう落ちました。

福田:ところが今の若い人を見てると、インターネットをパチパチいじってたらいつのまにか大手のサラリーマンよりいい給料をもらっちゃったっていうことが起きる。この間、「20代前半からベンチャーを始めた人と、大手企業に入社した人の給料格差が30歳でどのくらい違うか」というあるデータがあって、結果ベンチャーのほうが平均年間100万円上だったんですよ。もちろん成功・失敗の振れ幅は大きいにしても、そういう選択肢があるということは僕らの時代とはまったく違う。でもその間にも、40代50代は昭和の路線できたので、社会背景が変わっても自分のストーリーが変わらない。なのでどうすれば、今、会社勤めの方が「辞めて勝つ」となるのか。でもみんながみんな、「人生100年あるらしいし、あと50年ぐらいあるし、じゃあ辞めてもいいか」なんて簡単に思っちゃうと、とんでもない失敗をする方も、きっといらっしゃるわけじゃないですか。

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