SNSが生んだ功罪
高田:もちろん。もちろんです。
福田:その見極め、ですよね。先程のお話にもちょっと出ていましたけど、「こういう人は辞めるのは止めなさい」っていうケースとか、まだ辞める準備が出来ていない方に、どういうアドバイスがありますか。
高田:まずいくつかありまして、「勝つ」ということの意味ですね。僕もずいぶんいろんな知人から、「きみは“勝ち負けじゃない世界”にいったんじゃないの? それを“勝つ”という表現はおかしいんじゃないの?」と、出版後に言われました。で、「勝つ」ということを=「収入」と考えて、「おまえ、会社にいたときよりもそんなに収入多いの?」と言われることもあります。
福田:それ、一番みんなが意外に思うところでしょうね(笑)
高田:まあ、いろんな捉え方があるわけですね。どちらかというと「自分の価値観で生きる」ということを僕は言いたかったんです。だけど、「会社を50で辞めて自分の価値観で生きる」というタイトルだと、なかなか言いたいことが伝わりにくいんですね。要するに「価値基準を変えられる人」が、会社を辞めることができるということが言いたくて。
福田:ああ、面白いですね! それ、いいヒントですね。
高田:会社員でいたときは、相対評価で生きていたわけです。「あいつが一番で課長になった」「来年は○○さんが役員になるかもしれない」。そんな話ばっかりですね。会社の評価というのは大体が累積評価なので、1回昇格が遅れるとなかなか取り返すのが難しい。けれど会社を辞めるというのは、そういう世界から出る、ということなんです。でも、意外と辞めてもそこから出られていない人って結構いて、いまだに「何であいつが役員なんだ」とか。そういう価値観を捨てるということ。それが「勝つ」という意味だというふうに思います。
福田:確かに、単純に「元気なうちは80歳でも100歳でも働ける」っていう選択肢は、サラリーマンにはないわけですよね。しかも50代後半から100万単位で年収が下がっていったらプライドも傷つくし、精神衛生上よくないですよね。
高田:まったくその通りですね。だから今政府が言ってるのは、「会社は65歳~70歳までは何らかの形で雇用を確保してあげなさい」と。だけど、これは「雇え」とは言ってないんですよ。65歳過ぎると、身体的条件含めていろいろな個人差が出てきますから、契約社員で働ける人もいれば、そこまで働けないから少しバイト的に働く人もいるし、「いや、俺はいいよ」っていう人もいるし。そういう意味で言うと、65歳以降も自分らしく働ける、働かなきゃいけない時代になるんだったら、なにも65歳まで待つことはなく、55歳からそっちの世界に入るっていうだけの話なんです。