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質疑応答編

21世紀型 アップデートのススメ~ポスト・コロナの解説付き Talked.jp

(質問者1)

今まで経験してきたことの中で、一番印象に残っていることは何ですか。

(福田)

今まで経験した中で、一番印象に残っていること。僕本当に、全部忘れちゃうんですよ(笑)。でもそうですね。やっぱり「その瞬間」でしょうね。今この瞬間、みんなとここにいることが、一番印象に残っています。何かね、上書きされちゃうみたいです。だからわりと嫌なことがあっても、全然思い返さない。いいことってほとんど覚えてないじゃないですか。例えば電車って、はるかにちゃんと乗れたことのほうが多いのに、「オレ、いつもぎりぎり乗れないんだよな」って思うのが脳ですよね。だからやっぱり「これからのこと」に自分がタッチするような感じが大事なんじゃないでしょうか。答えになっていますか?

 

(質問者2)

おもしろかったと思いました。「好きなことをやっていいよ」みたいな、そういう部分です。あまりないかなと思って、そういうのがおもしろかった。

(福田)

好きなことばっかりやっていいっていうのが、新しかったということですよね。でもそうですよね。僕も子どもの頃、大人にはそう言ってほしかったです。でも言ってくれなかったから、もう聞かないで、自分で勝手にそうすることにしちゃったんですけどね(笑)。

(質問者3)

おもしろかったです。私は普段、Photoshopでイラストを描いたりしています。

(福田)

ありがとうございます。イラストを普段描いていらっしゃる。何か今日参考になるようなことありました?

(質問者3)

脳は体験で記憶するとおっしゃっていたので、SNSだけじゃなく、体験したことによって脳にインプットするんだなと思いました。SNSだけで情報を仕入れるんじゃなくて読書をしたり、こうやって体験したことで情報を仕入れたりすることで、ちゃんと記憶できるのかな、すごいと思いました。

(福田)

ありがとうございます。例えば旅をするとします。海外に行くということは、自分が外人になるわけですよね。その国の習慣も知らないし、政治も知らないし、宗教も知らないし。僕は1年の半分くらい海外にいるんですけど、その「外人感覚」をとても大切にしています。それでも、「この国の宗教と歴史って何かな」って興味を持つようになったのは最近ですよ。前はワーッと遊んでワーッと観光地行って、ワーッと終わるだけでした。つまり問題意識って、相当自分で感じないと、能動的に考えないということですね。だからあなたの場合は、旅先で残ったイメージみたいなものをまた、イラストにしたりするのもいいかもしれませんね。ありがとうございます。

(質問者4)

今までの人生の中で、何冊くらい本を読みましたか。

(福田)

何冊本を読んだか。冊数は分からないんですけど、僕は中学生くらいのときに、ガルシア=マルケスという作家の書いた『百年の孤独』という作品を読んで、感動したんです。南米のコロンビアの作家で、この間亡くなりましたけども。『百年の孤独』は僕の人生のトップ10に入る本ですね。

で、好きになると、その人のことが気になるんですよ。それでいろんなインタビューを読むと、「図書館にある本を全部読んだら、自分が世界の王様になる」というコメントがあったんです。そんなに簡単になれるのかなと思って、僕も図書館中の本を読もうと決意しました。多分相当の分野の、あんまり自分とは関係のないような本も読んだので、嫌になったり、長かったりすると途中でやめたりした本もいっぱいあるんですけど、本を読むのは大好きですね。そのおかげで、おそらく今があるんだと思うんです。たくさん本を読むと、まあまあいい文章が書けるようになるんですよ。あと人と話していると、理路整然になれるという学習効果もある。だから本を読んでいるのといないのとでは、社会に出たときのコミュニケーションスキルには差が出ると思いますよ。つまり、たくさんコミュニケーションができると、自分の言いたいことが人に伝わっていいじゃないですか。今日も、皆さんがどう思ったかは別にして、150人もの人の前で自分の話を無理やり聞いていただける…なんてことも、やっぱりある程度、本を読んだり少しは知的なことがない限り呼ばれないでしょうから(笑)。やっぱり僕は、読書で得をしました。18歳とか、19歳の知り合いが、今日でこんなにできちゃったわけですからね。54歳だったら、そろそろ新橋かなんかで飲んでいるだけですから得した感じですよ。

(質問者5)

本を読むのが苦手なんです。読んでも、60ページ目くらいまでしか本を読むことができないんです。小説なんですけど。

(福田)

お小遣いはちょっとかかっちゃうんですけど、本って、読み切ったときに感動があるんですね。中身は別にして「読みきった!」というね。例えば三島由紀夫の本て、難しい漢字ばっかり出てくるんです。だから辞書を引きながらじゃないとできなかったんですけど、今はkindleがあるからいいですよね。そういうことでいうと、自分が読み切れる本を見つけるまで、途中で全部やめ続けるのがいいかもしれませんね。

(質問者6)

先ほどのお話の中で、オフィスをなくすというのがあって、何かすごいなと。それで思ったんですけど、本社からスマホに、会社の仕事とかのデータをアップするとか、そういう会社はあったりするんですか。

(福田)

今はないですけど、これからどんどん出てくるかもしれませんね。今の話は、「会社なんかなくしちゃっても、スマホからできるような会社がないのか」っていうご質問だと思うんですけども。今、「5Gが来る」って言っていますよね。あと8Kとか4KとかNHKがやっているのありますけど、まず5G回線が世の中に広まる前提でいえば、どんどん映像のクオリティー上がりますよね。先程の話の孫泰蔵さんが「5Kくらいの高彩度の画像だと、目の前の人はもう、画像なのかリアルなのか、違いが分からないんです」っておっしゃっていました。テクノロジーが発達していくと、SF映画のホログラムじゃないですけど、会社に行く意味あんまりないかもしれませんよね。さっきの「朝、窓をたたいて起こす人」じゃないですけども、満員電車の写真を未来人が見たら、「何これ」っていう時代が来るかも知れない。皆さんのお子さんとかね。ただ、「誰もそんなの知らないよ」って思うようなアイデアを実現したときには、起業家になれますよ。だから、スマホにデータを残す会社、というのは素晴らしい発想だと思います。

(質問者6)

もし、の話なんですけど、会社は会社でも、テーマパークとかそういう方向にいったらどうなると思いますか。テーマパークの会社も、社員がダンサーだったらまだ分かるんですけど、社員だったら現場で指示をしないといけなかったりするので、そういう場合はどうなると思いますか。

(福田)

結局AIがどんな職業を奪うかって話になるんですけども。偶発的なことや思いつきみたいなことは、AIにはできないと思いますよね。しょせん、プログラムした上でディープラーニングして考えるというのがAIだから。アートとか、クリエイティブであればあるほど、AIに代替えはきかなくなります。だから、パターンで動いているような仕事は厳しいでしょうね。だから社員の方でも、ルーティーンがあって決まったことをやっているっていう人は「別にAIでいいじゃない」となるんですけど、突発的にスタンダップコメディを思いついて披露できる人を、AIにやれと言っても永久に無理ですよね。今までは機械のように働く人が良かったのが20世紀だったんですけども、機械のように働かない人が一番優秀だ、つまりアート人間が優秀だってなるのが、これからなんじゃないかなと僕は思っています。

(司会)

いろんな多方面のお話の中でヒントもあり、われわれ美大で学ぶ者としてはとっても勇気が出たと思います。では時間になりましたので、最後に福田先生に改めて拍手をお願いします。ありがとうございました。

(福田)

本日はみなさん、ご清聴いただき、ありがとうございました。

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