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しあわせになる仕事術 Talked.jp

幸せとは自分というものを失うこと

北川 絶対そうですね。その話でいえば、『Happiness Hypothesis』(ジョナサン・ハイト著)っていう本、読まれたことあります?

福田: いや、ないです。

北川: 『しあわせ仮説』っていう本があるんですね。

福田: 面白いですね。

北川: 本当に面白くて、著者はもともと心理学者なんですよ。心理学者の科学的なアプローチで「幸せとは何か」って考えた人なんですが、一方、世の中には宗教というアプローチもある。ブッダだとか、キリスト教だとか、ユダヤ教とかあって、それぞれが幸せというものに語っているよねと。じゃあ、この二つの接点って何なの?と。両者が同じこと言っているポイントについて記述しようとしたのがこの本なんです。

福田: 読んでみますね。

北川: 幸せとは何か。この本では一つの「しあわせ仮説」を立てています。それは自分というものを失うこと。つまり「人というのは、自分と世界を一体に感じられた瞬間にとてつもない幸せを感じる」ということを一つ仮説として立てているんです。

福田: 僕、ここ最近、NPOのことばかりやっているんですが、多分その答えの一つがそれだと思うんです。そもそも『スター・ウォーズ』みたいなエンターテインメントやりたいって思った原点は、小学校の頃、クラスでみんなの笑いを取るのがうまかったんですよ、放課後とかに。みんなが笑ってくれると面白いじゃないですか。星新一のショートショートとか読んで、「こんな話、みんな面白がる」と披露したり。映画館に行ったら、もっとたくさんの人を楽しませることが出来るので、「効率的な楽しませ方だな」と映画の道に進むことに決め、以来、僕、エンタメしかやったことないんですよ。
 ところが経営も落ち着いて、それこそ10年前ぐらいですかね、「世の中には笑顔でない人がいる」と気が付いて、「なんかできないか」って考えたんですね。スピルバーグが製作総指揮した『ペイ・フォワード』っていう映画がありますよね。一人が一日に三つずついいことしたら幾何級数的に世界が良くなるじゃないってストーリーなんですけど、理屈どおり行かない。
ITの若い社長が「俺、金持ちになって幸せになるぜ」って言いながら決して幸せになれないのと同じなんですね。マザーズ上場して「上場社長」にはなれるんですけど、「昨日何食べた?」と聞いても、「コンビニ飯です」って、結局幸せって自分だけで味わえるもんじゃないのかもしれません。  自分と関わった人が幸せになった時に、初めてその幸せの一部を分けてもらえる。これは、ある程度年齢を重ね、経験を積まないと分からない仕組みになっている

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