logo

しあわせになる仕事術 Talked.jp

人の幸せをテクニカルに考えないと駄目

福田: 「人は幸せになったほうがいい」と映画で伝えようとしても、抽象的だったり、全然心に響かないような表現手段が多いので、NPOに注目したのですが、この業界も、もっとリッチになるべきですよね、ある意味で。お金に対する価値の認識が低過ぎる。僕、いくつかNPOの理事とかやっているので、年に1回か2回の総会にも出席するのですが、「じゃあ来期はこういう予算でいいですか」と議題に上る、その理事長の給料が信じられないぐらい安かったりするんですよ。思わず「いいことやっているんだから、最低でも1000万とか2000万円とかで取ってくださいよ」と進言してしまいます。「やっぱり、リッチな生活をして、旅をして、恋をして、いいもの食べて、「じゃあどうしようか」ってならない限り、スケール大きくならないですよね」と言ったところで、ちょっと変わった人と思われるだけなのか、「貴重な意見ありがとうございました」とか大体聞いてくれない(笑)。そんな余裕ないんでしょうね。でも、これが悪い循環なんですよ。リッチになれば、もっといいんですよね。だから、北川さんがおっしゃる「その人が幸せになるメカニズムと構造」について、もっと知りたいですね。かなり興奮する話ですよね。

多様な動き方をする方が幸せに感じられる

北川:宗教の中には、ヨガなどを通じて世界と自分の一帯感を出すという事例もあります。あと、脳科学的にもそうした状況において幸せを感じるということも、実は証明されているので、宗教と科学の接点ともいえるのではないでしょうか。
 ちょっとまた別の話をすると、日立研究所に矢野さんっていう、僕がすごく尊敬してる方がいるんですね。『データの見えざる手』っていう本を書かれている方なんですけど、データ業界ではもう神がかった人として有名で、彼が最近した研究ですごく面白かったのがIoTなんです。動物とか人に時計とか着けてもらうんですね。測っているとその人の日々の生活について分かりますと。その際、事あるごとに「あなたは今楽しく思えてますか?」とか、「寂しいですか?」とか、アンケートを取ることによって、その人の幸せ状態っていうのを測るわけですよ。それをいろいろ分析した結果、幸せと強烈な相関のある変数っていうの見つけたんですね。0.9とか0.8とか自然界ではありえないレベルの相関を持った数字があったんです。これが実に面白い話で、人があれこれ活動するその多様性だったんですね。それをどうやって測るか。もう簡単な話です。休んでる、動いてるっていうのを、20分動いてなかったとか、10分動いてたとか、30分動いてなかったとか、それらをスコアにする。そして、その分数がバラバラであればあるほど、その人は幸せに感じているって法則を見つけたんです。逆に、いつも同じ運動をしている人、つまり10分休んで10分活動して10分休んでみたいな人は決して幸せではなく、1分動いて30分むとか、バラバラであるほうが、実はこれは人のみならず、ありとあらゆる動物も、同じように幸せに感じることが分かりました。
 矢野さんと話した時に、「これ、なんでなんですかね?」と仮説も立ててみたんです。恐らくこれだけユニバーサルなものであれば、これは生物学的なものであろう。つまり、生物の進化論的に、多様な動き方をしているってことがその生存条件として重要だったんだろうと。だからプログラム的にそれを幸せと感じるようになっているんじゃないかなって話をちょっとしたことがあって。

福田:そういうことが明らかになると、もういわゆる20世紀的なサラリーマン像って存在しないですね。投資家の孫泰蔵さんとランチしていたら、この方も面白くて、リニアモーターカーの次の技術が出た時、技術的に解消しなきゃいけない問題がいっぱいあると。それを社内のクラウド上置くと、みんな技術者だから、「僕これ得意」「僕はこれ得意」ってそれぞれの分野を解決していく。それでも余った問題はそれだけ難しい案件なので、また別のコミュニティーのクラウドで出すと。そうすると最終的に全部解決するんですけど、その解決の時間と方法が、「これを解決するために、予算つけてこういう組織にして決済基準はこうして、あなたの役割はこうです」っていうやり方よりもはるかに早く解決できることがわかったと。だから「野武士のほうがものを解決力高い」とおっしゃるんです。
さっき北川さんがおっしゃった「振れ幅が大きい」っていうのは、もしかしたらそこに何か新しい可能性が秘めているのかもしれないね。

後篇に続きます

TOPへ