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2050年までに、魚よりもプラスチックごみの量が増える!?

「ポイ捨てゴミ」と戦うベンチャー Talked.jp

福田:アプリ「ピリカ」の「ゴミ拾い1億個」の目標が見えてきたところで、次のステップとしては、どのような会社の未来、ご自身のやるべきことを考えていらっしゃいますか。

小嶌:ごみ拾いのSNSやポイ捨て調査のしくみというのは事業としても成り立っているので、どんどん増やして続けていこうと思っています。 その一方で、ポイ捨てごみが都市部から自然界に流出している問題は、まだまだ大きいんですよね。プラスチックごみは細かく分解された「マイクロプラスチック」になって、海を汚染したり、それを魚や鳥が食べてしまい生態系にダメージが及んだりなど、自然界に出ていっているっていう大きな問題がありますと。

福田:マイクロプラスチックの問題って、国境をまたいじゃったから分かりにくくなったわけですよね。このごみって、東京から出たものなのか、福島から出た瓦礫なのかみたいなことが、今もって何も解決できていない。ちょっと飛躍した言い方ですけど、もう行政という中央集権では解決できなくて、分散型のNPO的な思考で解決していかないと駄目なのかなという感覚を持っていますけどね。

小嶌:僕ら、今までは都市の問題に集中して問題を解いて自治体等からお金をもらうというビジネスモデルだったんですが、解決したいのは環境問題なんですよね。なので、環境問題として問題を解こうとすると、都市部で発生したごみの流出を止めないといけないんですよ。
 その問題は、とても興味深いものです。どんなふうになっているかというと、今、海にたくさんのごみが浮かんでいますが、その大部分はプラスチックで、それが「2050年までに重量ベースで魚の量を超える」といわれているんです。

福田:えっ、そうなんですか。

小嶌:はい。なので、2050年にそもそも海に生命が存在できるか、誰も分からないし、もう予測がつかないと。なので、これは大きな問題だとなって、政府が連携し始めて、問題解決への動きが始まっています。
 これは地球の歴史の中で見ると、地球温暖化の20年、30年前ぐらいの出来事に見えるんですよね。つまり、いろんな人が問題意識を持ち始めて、国際会議が起こり始めて、もしかしたら近い将来は法整備がなされて、それこそ市場化されるかもしれない。すごく有望な分野でもあると思います。

福田:なるほど。

小嶌:今、分かっていることは二つなんですね。海に多くのプラスチックごみがあるということ。そのごみが8割、陸から来ているということ。でも、分かっていないこともあって、どういう経路で陸からごみが流出しているかは分かっていないんです。なぜかというと、今、海での調査方法というのは、船の後ろに網をセットして、ひたすら海の上を引き回すんですよね。その網の中にどのぐらいごみがたまっているかで、海の汚染度をチェックするわけです。でも、都心部のチョロチョロした川とかだと、そもそも船が入れなくて使えない。

福田:たしかに、それじゃ調査もできないですよね。

小嶌:調査できなければ、ごみの流出源も分からないですよね。なので、じつは去年の夏ぐらいから、ずっと川に沈めることができる調査装置のハードウエアを作っているんですよ。中にバッテリーとスクリューが入っていて、水をどんどん吸い込んでいくんです。網もセットされていて、その中にどのぐらいプラスチック片が残ったのか、川の調査ができるものです。上流からその装置をセットして進むと、理屈上は、「上流はきれいで、下流に行くに従って汚くなっていく」はずなんです。ところが急激に汚くなるポイントがあって、その間には問題となる排水口だったり、工場だったり、下水処理センターっていうのがあるのでは?という仮設を持っています。それを突き止めて、解決するのが、今ちょっと燃えているプロジェクトです。

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