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「みんなが知らないことを知っている」は、 ビジネスのビッグチャンス

「ポイ捨てゴミ」と戦うベンチャー Talked.jp

福田:それはもう、実現が近そうなんですか。

小嶌:ある程度、問題は見えていて、何となくここが怪しそうだなというのは見えてきているんですよ。なんですけど、じつはそこは僕ら理系が苦手としている領域、法律の世界も絡むんです。水の汚さって、僕らから見ると濃度とか数字で見るんですけど、世の中では法律で定義されているんですよね。いま注目しているのは「水質汚濁防止法」っていう法律です。

福田:「水質汚濁防止法」。知りませんでした。

小嶌:それによって下水処理場から出る水、工場から出る水は、この基準を満たしていなければならないということが規定されているんですよ。その基準を超えていれば問題だし、収まっていれば、きれいな水と認識される。でもその中に、プラスチックの項目は入ってないんです。なぜかというと、それは40年以上前にできた法律で、ずっと変わっていないから。当時認識されていなかったプラスチックのごみについては測れない法律なので、それはもう制度上のバグだと思っています。

福田:それはぜひ、行政にも知っていただかなければ。

小嶌:大学の先生や企業の方にも知見をお借りしたいと思っているところです。

福田:そこは、もしかすると僕がお役に立てることがあるかもしれません。

小嶌:はい。ぜひよろしくお願いいたします。

福田:直接、人類のためになることですし、それをやっていかないと、魚よりもマイクロプラスチックの量の方が増えるなんて、きょう初めて知りました。それはイマジネーションの問題で、危機的な話ですよね。だから、イマジネーション豊かな人を育てるのが、本当の教育かもしれないなって、僕は思いますね。

 なぜなら、「あまりにも想像力がないから駄目」っていうことが多過ぎるから。「オレと関係ないところで海にプラスチックがあったって、何の問題があるの」なんて言われたら、それまでなんでしょうけど。

小嶌:本当に。このまま行ってしまうと、2050年までに、「魚よりプラスチック増」問題は起きてしまうんですけども、それをさせないのが今の会社の一つの取り組みですよね。それはごみの問題だけじゃなくて、水質汚染という問題にも足を踏み入れていて、要は「環境問題」シリーズの2冊目にチャレンジできているわけです。というのが、僕としてはすごくうれしくて。でも、まだ未解決問題が5冊も残っているんですけどね。うち1冊の「オゾン層の破壊」だけは、2050年までに勝手に解決しそうっていうのが見えているんですけど。

福田:そうなんですか。

小嶌:はい。元の厚さに戻ってきているんですよ。フロンガスの規制とかで。なんですけど、残り四冊については順調に数値が悪化を続けていて。でも、世界においての環境問題のメディア的なピークって、2000年前後ぐらいでちょっと止まってしまっているんです。

福田:元アメリカ副大統領のアル・ゴア氏の環境問題映画も、『不都合な真実2』で続編が公開されましたけども。

小嶌:はい。ただ世界的には、2000年以降はリーマン・ショックあり、9.11あり、東日本大震災ありで、環境問題どころじゃない状態がずっと続いているんですよね。なので、メディアでの情報の露出度は下がっている一方で、問題は着々と悪化していっていて、この乖離は、すごく広がっているんですよ。

福田:「鶏と卵」じゃないけども、メディア露出を増やすことによって、社会に対する問題提起も増やさなきゃいけないから、僕らメディアに関わる人間は、そこを意識的にやっていかなきゃ駄目なんでしょうね。実際の問題解決のことは、そういう意識を持っている方がやっているとしたって、それが世論としてついていかなかったら法整備もされないし、いろんな投資もされませんから。

小嶌:それだけに、これは事業家としても大きなチャンスに見えるんですよ。本当は正しいんだけれども、みんなは知らなかったり、目を背けていたりすることを、自分だけが知っている状態は、めちゃくちゃ大きなチャンスじゃないですか。状況は確実に悪化し続けている。いつか全員が気付くときが来る。必ず来る。でも、現状は、そうなっていない。その差を知っている自分たちは、いろんな取り組みができるはずなんですよね。

福田:そういうチャレンジができる、新しいタイプのビジネスと呼んでいいと僕は思うんですよね。やったことに対する対価は、いいことに比例すべきだと思うので。小嶌さんの好きな、投資努力に対するリターンね(笑)。でも本来の起業って、そういうものだと思うんですよ。1人でできないことをチームで解決するから会社つくるわけで、それが何かの勘違いでエゴになっているのが、世界的な潮流だと思う。

小嶌:そう思います。

福田:「お金が何をもたらしたのか」と言った時に、バブル世代だったら「みんなが欲しいものが欲しい」という欲求がまだあったけども、今、ミレニアル世代の方たちの時代が到来して、シェアエコノミーになって、共存がテーマになった時に、より社会環境や自然環境に目を向けるような土壌が構築されている必要がある。これからのピリカの活躍によっては、社会が大きく変わっていく可能性があると思います。しかし、小嶌さんの倒すべき敵は、まだまだでかいですね。

小嶌:そうですね。倒しがいのある面白い敵が、まだまだいっぱいありますよ。

福田:微力ながら、僕も敵を倒す一助になれたらと思います。今日はありがとうございました。

小嶌:こちらこそ、ありがとうございました。

(了)

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