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物語を「つかまえに行く」体験が必要

デザイン経営時代のブランディング 読書でしか、得られない価値

幅:あとは誤解を恐れずに言えば、「読み聞かせが過ぎる」傾向もあると思うんです。読み聞かせのボランティアとか、お父さんやお母さんの子育てを否定するわけではなくて、子どもたちが自分で本を読む機会や時間を奪いすぎない方がいいんじゃないかなと。 だって最近はYoutubeが読み聞かせてくれる時代ですからね。「物語は向こうからやって来るもの」と思っている子どもが増えているんですよ。

福田:たしかに今は、AIスピーカーも読んじゃいますもんね(笑)

幅:そうなんですよ。だから、自分からつかまえに行かなくても、物語が勝手にやってきてくれるって思ってしまうんでしょうけども…。やっぱり受け身でいるだけじゃなくて、自発的に読みに行くという行為に、向かえるか・向かえないか。それが幼少期における、本との距離感を変える上では大きいと思いますね。

福田:大事なんですね…やっぱり。先日、Amazonオーディブルの担当者の方とお目にかかったんですけども、最高7倍速で読めるアプリってあるんですね。

幅:7倍速で聞く…(笑)

福田:ビジネス書だったら、通勤時間に2冊はいけますって言うんですよ。詰め込み教育だな~って思ったんですけど。

幅:それ、逆にすごいですね!

福田:会社に着く頃には「ホリエモン」か「落合陽一」になっているという(笑)。で、僕は2倍速くらいでお風呂で聞いているんですけど…。養老孟司さんの講演を買ったんですよ。面白いんですけど、2倍速だと考える余地がなくなってわかんないです(笑)

幅:いやいや、どっちかって言うと、養老先生はゆっくり聞きたいですね。もちろん音声図書の可能性は非常にあると思いますし、僕らも視覚障害者のライブラリーをやった時、音声図書の発達には驚きましたし。アメリカって車社会なので、紙じゃない本、オーディオブックは昔からありましたからね。

福田:もともとあったんですか。

幅:そう、本が紙じゃなくてもいいじゃん、みたいな。そういう慣習があったが故に、じゃあべつにeペーパーでもいいじゃんとか、いろんな形の本を受け入れやすい土壌ではあったから広がったんでしょうけども。でも日本はちょっと、状況が違うのではないのかなぁ?と個人的には思いますけれども。

福田:幅さんがおっしゃった、幼少期に本を読んだり、難しい漢字もあったり、それを乗り越えて登場人物表を書いたりして、イマジネーションを作る力が鍛えられるといいますか…。だから今の時代の「想像力の欠如」っていうのは、そこが足りないからかなっていうふうに思いますね。

(後篇へ続く)

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