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本質的なことは「検索」ではわからない

経営者の在り方ってなんだ!?誰よりも早く、世界の未来図を知る

福田:こだわりますけど(笑)、中2って、いろんなイノベーションを起こす年齢なんですよ。僕の話をさせていただくと、当時第2サイファイ(サイエンス・ファンタジー)ブームだったので、SFマガジンが愛読書だったんですね。「スター・ウォーズ」を最初に取り上げたアメリカの月刊SF映画雑誌『スターログ』がキッカケになって、SF小説にのめり込んだんです。ハヤカワ文庫を読んで、サンリオ文庫を読んで、「ちょっとメローな感じでやだなぁ」とか言いながら、最後は哲学的な領域に興味を持って、みすず書房に行くんです。

小林:みすず書房というと、白いカバーの。

福田:今考えたら、あのブックデザインすごいですね。みすず書房、変わってないですもんね。法政大学出版とかね。僕は地元が京都と大阪の間の山崎だったので、京都書院(美術書を多く出版した京都市の出版社。1999年6月に倒産)が近かったんですね。

小林:あぁ~。京都書院とか懐かしいですね。

福田:京都書院の品ぞろえ! あそこの編成と面陳(書籍の表紙“面”を見せて書棚に陳列する方法)で、もろに影響を受けました。(ノーム)チョムスキーの哲学書とか。

小林:チョムスキーの本は、京都書院だったんですね。

福田:そうだったんです。だから、中学生にはめっちゃ難しいんです。だけどなんとか読み解いて。だから自分の脳内の成分は、京都書院で作られていると思いますよ、本当に。あそこに行くのだけが楽しみでしたから。

小林 ははは。京都書院のことを知らない人には、全然わかんない話かもしれませんね(笑)。「脳の成分が京都書院」って。

福田:ですよね(笑)。でもネット時代になって、「ウェブの記事とかブログとか、すごく読んでいるから活字離れしてないよ」って言う人もいるんですけど、そこと、本の深さって何が違うんでしょうね。ネット時代になって僕がすぐ気づいたのは、「検索って、知的なものは何も出てこないな」ということ。もちろん便利で使うことは多いですけども、検索って、本質的なことは何も教えてくれないですよね。

小林:ドイツの哲学者のマルクス・ガブリエルは、「群衆の知恵」ではなくて、「群盲の知恵」と揶揄していますけどね。今、ネットですぐに調べることができますけど、間違った情報を記載したものが検索ランキングの上位に出てくると、あとはそれの劣化コピーでしかない。そして、「それを真に受けた人たち」がさらに流布するというパターン。だから1つの情報に対して伝播されるパターンって、実はいくつかに類型化できるし、バリエーションもそうないんですよね。真実を掲出して得するかどうかで考えると、あまり実生活や実社会に旨味が出ない話が多い。公益に関することは別として。むしろ、ネットに書き込む手間や暇のコストがかかる。これは情報掲出に関するコストですね。それに掲出したからといって一般人には関係のない話が大半でしょう。なので、ネットの多くは、それを掲出することで利益誘導がはかれる話のほうに傾きやすい。真実を報じなければならないニュースや官報などは、むしろ価値が軽んじられてしまう。なぜなら、バリエーションがつくれないから潤沢化してしまうのです。対照的に、「これを読んだら○○になれる」的な利益誘導型の情報や誰かの価値を毀損することで、誰かの価値を上げるためのフェイクニュースが大手を振るうわけです。そこでは実社会との逆転現象が起きます。情報を掲出する際のコスト(物理的・心理的)というものを考慮すべきです。もちろん、なかには篤志家により公益のために掲出されているものが多いはずですが、良貨が悪貨によって駆逐されてしまう。さらには検索ワードが買えたり、アドテクが猛威を奮っているので、図書館で本を発見するのとは異なり、発見の不平等が存在しています。

福田:まさに。情報に対する知識には、地層のレイヤーが随分あるような気が、僕もしました。

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