曲作りは “気分”を選ぶだけ
福田:「SOUNDRAW」のサブスクについては、もう発表されているんでしたっけ?
楠:公表はしていないのですけど、大丈夫です。
福田:「SOUNDRAW」の最初のプレゼン資料の中に、海外最大大手のビート販売サイトを使って曲作りをしているとあったじゃないですか。
楠:はい、「BeatStars」*という、ビートを販売するサービスですね。
(* 海外最大手のビート販売サイト。プロデューサーとアーティストが一緒にスタジオに入ることなく、簡易的な売買のみでリンクできるデジタルマーケットプレイス)福田:弊社所属のレイヤマダという女性ボーカリストが、以前その「BeatStars」を使ってみたんですよ。そうしたら「これがいい」というビートが、たしか25ドルで。あれはサブスクじゃないのですね。
楠:はい、あれは単発売りで、使用ライセンスの制限があるんですよね。例えばそのビートを使って、自分のラップを乗せて、それをYouTubeやSpotifyで配信するとするじゃないですか。そうしたら、権利が10万回までとかなんです。そこから増えたら、「BeatStars」にお金を払わんといけないのですよ。ただ、いろんなコースはあって、例えば「300ドル払えば自由に使える」などはあります。「SOUNDRAW」ではサブスクにして、作り放題、ダウンロードし放題というモデルを作りたいと思っています。
福田:他には、コンペティターに対してどんな強いポイントがあるのでしょうか?
楠:動画向けのも「BeatStars」みたいなものも、決まった楽曲を使えないので、簡単にカスタムすることができないんです。曲を買って、そこに声を乗せたりという専門的な編集が必要になるんですけど。でも「SOUNDRAW」では、自由にカスタムができるというのが1つのポイントです。あとはメロディーやビート自体をAIが作るという点ですね。
福田:なるほど。それは全然違いますよね。どういう曲にしたいかは、画面上に示された “気分”を選ぶだけでいいんですもんね。現在はβ版じゃないですか。あれは原型になっているビートが、ある程度入っているのでしたっけ?
楠:入っています。4小節の短いフレーズがサーバー上に多数ありまして、例えばそれを「ハッピー」「トラベル」などと選んだら、それにタグ付けされているビートとベースとメロディーと、という感じで、都度組み合わせて作っているという仕組みです。AIが作ったメロディーラインはたくさん入っているので、かぶりにくいものが提供できるかなと。これからもっと増やしていく予定です。
福田:ロサンゼルスの若手注目シンガー・ビリー・アイリッシュは、スマホの音源をそのままCDとして出しているね。
楠:ビリー・アイリッシュはすごいですよ。めちゃくちゃシンプルなビートやベースの音色をパキパキに仕上げているんですよね。
福田:ぜひ、うちのレイヤマダの楽曲でもやりましょう。3曲くらいのミニアルバムとか。
楠:あっ! むちゃくちゃいいですね。
福田:「SOUNDRAW」を使わせていただくときは、普段絶対できないような、フルオーケストラのものとか。そういうなかなかできないような音源を再現したら面白いかなと思って。また本人も交えてやらせてもらえれば。
楠:ぜひ! 聞かせていただきます。