行き詰っているときに必要なのがコーチング
福田:ちょっと逆らったこと言うようであれなんですけど。これまで、訳も分からず無心にやってきた、とか、あまり自分のことを知らないけれども、知らないからこそ根拠のない自信によって導かれて成功したっていう体験がある場合、知らないままにしておいたほうがよかったということはありませんか?
山﨑:知らないまま、一定のところまでは行けるかもしれませんね。その人のもともと持っている力で。コーチングが必要だと感じるのは、そこからかもしれませんね。だから本当に必要だと感じていない方はお断りしています。
福田:経営者でも。
山﨑:はい。経営者でも。今勢いに乗って進んでいる方で、知り合いから薦められて、受けてみようとおっしゃっていらしても、本心として、自分にはサポートは必要ないと思っている方たちに対しては、こちらでもお断りしております。「もし、今1度自分を見詰め直したいという時が来たら、私をまた思い出してくださいね」って。
福田:僕はまさに今、ですよ。もう少ししたら引退しようかなとか言ってる、今じゃないですか。 僕はコンサルタントとしては3年なんですけど、ある時、脳溢血や脳梗塞で倒れたらどうしようって、急に不安に捕らわれてしまったことがあるんです。指しか動かなくなった時のために、電話とSNSでしか相談を受けつけないけど、月に30万円という安いコンサルフィーで、若いベンチャーのためのコースを5社限定でやります、というメニューを作ったんですよ。 5社で月に150万、年間800万あれば、もう倒れてる状態だからそれでいいだろうと。その5枠はすぐに埋まったんですね。でも実際に始めたら、もう大変なことになっちゃって。指だけでやれるだろうなんて、とんでもなかった。 若くて経験のない経営者のコンサルは本当に大変で、結局自分が社長みたいになっちゃうんですよ。その人たちから「決めてください!」って重要事項の判断を任された時に、「あれ? これは違う」と。「君、社長なんだよね。僕はアドバイスはするけど、判断はしないよ」って言って辞めました。
山﨑:辞めますよね。
福田:今、僕は禅(マインドフルネス)に凝っていまして。世界中に宗教があるけど、人生は1回きりで死ぬと言ってるのは、禅の宗派が多い。僕が禅に関心を持ったのは、他力本願じゃないからなんです。「1万円寄付したからちょっと幸せにしてくれよ」ではなくて、自分の人生は自分で切り開こうよというのが禅なんです。それならちょっと考え方として面白いなって思って。 だから、やっぱり自分のことを知って、意識化して、行けるとこまで行きたいっていう気持ちは50過ぎないと沸いてこなかったし、たくさんビジネスで失敗しないと……失敗しても分からない人いるかもしれませんけど、失敗しないとその境地には行かないでしょうね。
山﨑:今私のクライアントは若い方で35歳ですね。
福田:35歳! よっぽど老生しているんですね。すごい人はいるんですねぇ。
山﨑:大学生の時から自分で起業しているような方たちですね。「起業して、とにかくがむしゃらにやってきた。ガーっと一定のところまで来て、色々手に入れたけれど、なぜかすごく虚しい。これ何?」みたいな境地ですね。
福田:わかる!
山﨑:あとは、もう本当の意味で行き詰っている状態の時に、結構お声がかかります。これから先、どこに向かって進めばよいかわからない。自信もなくなってきている。そんな時こそ、私が必要になるようです。