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イノベーションのきっかけは“よそ者”

発想の原点は、「構造を見る」ということ

福田:僕は沖縄でも仕事をしているのですが、沖縄は本土で疲れた人がやって来るというケースが多いのですよね。やって来るのだけど、すぐに東京が抜けないから、村人たちに何かを教えようとするわけです。そこである程度成功する人もいて、「コーヒー豆はこうやって輸送するんですよ」とか言うと、現地の方々も最初は排他的なところはあるけれど、面白いからっていうので、5年ほどいると仲間になっちゃう。その地域のイノベーションを起こすきっかけが内地から来た人、というパターンは意外と多いのですよね。つまり、沖縄に限らず、よそ者が一時期、文化の緊張をうむんだけど、それがきっかけで地元が伸びるって現象は世界中で起きてます。

白河:地方を変えるのはよそ者とよく言われますね。

福田:僕は東京を沖縄のようにしようと思ったら、日本は移民をもっと招き入れるしかないと思うんですよね。高齢化社会なわけだし。

白河:いろんな人に来てもらうしかないということですね。

福田:「そんなことをしたら犯罪率が」って言う人がいるけど、そんなことはないと思う。日本の暴走老人のほうが犯罪率は高いし、絶対数は少ないけれど、数字で見たって留学生や移民の人たちの犯罪率は低いのだから。受け入れをすればいいのに、なぜしないのかかわらないです。

白河:私がコロナ禍でいちばん感じたのは、行動を変えないと、人間は変わらないなということです。会社の研修で意識研修みたいなものをやっても、「いい話を聞いた」というだけで終わってしまう。行動が変わらないと、変化しないじゃないですか。コロナで起きたパラダイムシフトで特に興味深かったのは、テレワークを経験した人から、「家庭を大切にするようになった」「地方への移住もありだよね」「今の職業意識はこのままでいいのか」「副業、兼業もありじゃないのか」など、今まで全然動かなかったところが動いたことです。だから働き方改革って、目的は働き方を変えることじゃなく、マインドセットなのですよね。コロナで働き方が強制的に変わったことによって、変化がその人たちの中に起きた。すごく面白いなと思って、そこは注目しているところです。

福田:そうすると、去年の最初の緊急事態宣言の時に、「テレワーク7割」という指標が出たのですけど、あれはどうなったのでしょう。

白河:東京23区だけ、55パーセントまで行きました。他は30パーセントぐらいだったかな。今は首都圏で20%ちょっと。全国では15%ぐらい。しかし企業によってすごく差があります。丸の内のピカピカのビルにほとんど誰も出社していない企業もあります。(2021年3月18日現在)

福田:このままテレワーク7割にしておくと、極端な話、行動変容はもっと出るかもしれないということですね。総務部や人事部、秘匿性のある話など、会社でなきゃいけないようなことはあるとは思いますが。

白河:みんな、ハンコのために会社に行く。ドワンゴの夏野剛さんですら、「ハンコがあるからその日は会社に行く」とコロナの初期にはおっしゃっていましたね。

福田:これを機に変わるはずなのに、「5割戻りました」「6割戻りました」となってしまうのですよね。この前見たドキュメンタリーでは、ニューヨークの会社で社員の4割がニューヨークから出ました、一番遠い人で、テキサスに移住したそうです。ニューヨークだと月に35万の家賃を払っても狭いけれど、テキサスではこんな庭付きの一軒家があって、という写真が出ていて、ダイナミックだなと。

白河:一時的に、シリコンバレーの地価がものすごく下がっていて、40万の家賃が20万にまで下がったと言います。ダイナミックですよ。日本はそこまで下がらないですよね。

福田:下がりませんねぇ。

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