コミュニケーションが足りない!
福田:日本人は、見知らぬ他人を全然受け入れようとしないですよね。寛容の精神がない。前もリオさんに言ったかもしれないけど、「日本人は親切なのが特徴です」っていうのは、嘘だと思います。だって街を歩いても、おじいさんおばあさんの重い荷物を誰も持ってあげない。階段で子育て中のお母さんのベビーカー持ってあげない民族って、日本だけだよ。ニューヨークなんか、すごい大吹雪でホームレスの人がいたら、みんながお金出してハグして、「もうちょっと端へ隠れたらどうか」って全員でやってるよ。 もし、電車でお年寄りに席を譲って、「いや、俺はそんな年じゃないよ!」って言われたとしたって、「そうですか」で終わり、でいいじゃない。もうちょっと強い自分を作るようなメンタリティがないと。
コミンズ:そうですよね。だから、自我と思いやりとの面白いところですよね。僕はアメリカの文化で好きなのが “have a nice day” カルチャーです。「良い一日を」って、僕は必ず言うようにしているんですよ。お店の店員から、打ち合わせをした相手まで、みんなにです。もちろんタクシーに乗ったら、運転手にも言うんですけど、言った瞬間、9割がたなんか「えっ? あ、ハハハハ」みたいな照れたリアクションをされます。お客さんにそういった一種の労いの言葉を普段から言われてないんですよね、おそらく。たまに1割ぐらい「ああ、ありがとうございます」って返してくれる人がいると、なんかいいなってなるんですけど。
福田:なるほど!
コミンズ:僕の父親は白人で、人好きの権化みたいな人で、めっちゃしゃべるんですよ。あれこそが究極的に、日本にはない部分かなと思いました。僕が以前、SoftBankショップに行ってスマホを直している間、父親はPepperと20分しゃべっていましたからね。最終的に「アナタハ外国人デスカ?」とPepperに言われて、「君すごいね!」って喜んでました(笑) コンビニにいるネパール人の店員さんにも「君はどこから来たの?」とか話しかけちゃうんです。マニュアルに対応方法が入ってないから、向こうは慌てるんですけど(笑)。「ネパールのどこ?」「カトマンドゥだったら、こういうのあるよね」みたいなことを、ぐいぐいと切り込むわけです。そしたら最後には店員さんも、やっぱりちょっと嬉しそうにするんですよ。 日本の都会は、圧倒的にコミュニケーションのロス。そんな東京の数少ないコミュニケーションの場って、個人商店だと思うんです。喫茶店もしかり、飲み屋もしかり。チェーン展開されていない「誰か」の場所。都会化っていうのはチェーン店が増え過ぎちゃうことでもあるので、すごい残念だなって思いますよね。
福田:もうこう言ったら絶望的過ぎるかもしれないけど、コミュニケーションスキルを学ぶ手立てがなかったのかもね。だってスピーチする授業もないし、ディスカッションを学ぶ授業もないしね。以前、アメリカの会社に入って初めて英語でプレゼンテーションしたときに、終わってから「あつし、すごく良くやった、Well done!」って褒められた。こんなに褒められること、日本ではなかったなって思うくらい。日本はできて当り前だから、それだけでハードルが上がるわけよ。だからまあ、できたってことだけでは別に褒められない。いや、もっと褒めてほしいよ(笑)