福島:うーん、欧米人に弱いっていうよりね、あれはもう仕方ない。私、つくづく思うんですが、新聞記者の強さは完全に国力に依ります。おもしろいのは、アメリカメディアは、中国人助手を記者として使うんです。つまり、彼らに取材させるんですよ。日本メディアは絶対それしないんですよね。なんでかって言うと、要するに、中国には外国人が入り切れないアンタッチャブルなネットワークの世界があるけれども、それを報じたらすごく危ないんですよ。そういうところに、雇った中国人の助手を行かせたくないわけです。日本人なら、日本のパスポートが守ってくれる、いざとなったら大使館が口を利いてくれる、保護してくれる、しかもジャーナリストビザを持っているんで、おいそれとは捕まったりとか、謎の交通事故に遭ったりとかしないんですけど、中国人助手は中国パスポートですから、中国側も自国民になら何してもいいわけですよね。自分たちの依頼で取材させて中国人助手の命を脅かす事態を招いた場合、日本の新聞社には責任が取れないんですよ。ところが、CNNなんていうのは、責任取るつもりでいるわけですよ。
福田:逆じゃないんですか。責任なんか取らないけど、仕事としてやれ、っていう冷たさじゃなくて・・。
福島:冷たさかもしれないけれども、結局、何かあったら、政府が出てきて・・・。
福田:なるほど、だから国力なんだ。
福島:人権問題だって、同じことが言えるわけですね。例えば、実際に元ニューヨークタイムズの中国人記者とかが、投獄されたりするわけですよ。そういったときに、欧米メディアは「これは人権侵害だ」って、国を挙げて批判することができるけど、日本はそこのときに、それは個人の責任だと・・・。
福田:そうか、そっちのほうが冷たいんだ。
福島:当然、「いやいや、新聞社の責任でしょ」っていうことになるけれど、新聞社は新聞社で責任を負えない。実は私も、例えばああいうときに、欧米メディアがどのぐらいの保障をやっているのかっていうのは聞いてないですけれども、やっぱりそんなことして、日本人も心痛むわけですよね、欧米メディアの人たちが、あれをやって痛まないかどうかっていうのは知らないですけれども。でも、欧米メディアの人たちにとって、正義っていうものが、こり固まってあるから、それ反して、ああいうことをやったのは、われわれが悪いんじゃなくて、中国が悪いと・・。
福田:はっきり言えるわけですよね。
福島:がんがん責められるわけですよね。でも、日本人としては、そうなることわかっていて、そこに中国人助手を行かせてしまったら、すごい責任感感じるわけで、そこらへんは文化の違いかもしれないんですよね。