資金調達を70回断られて
福田:一次産業に魅せられて『食べチョク』を起業しようとした時、資金集めがものすごく大変だったというお話をテレビ番組のインタビューで拝見しました。たしか、70社断られたことをバネにして、累計8.4億円の資金調達を成し遂げられた、と。スターバックスと一緒ですね。
秋元:スターバックスもそうなんですか?
福田:スターバックスの元CEOハワード・シュルツは、スターバックスを拡大するための初期の資金集めで242人に呼びかけて、217人に断られたそうです。それでもめげなかったということですが、秋元さんの場合は?
秋元:私は、最初は「ビジネスを大きくしよう」というよりは、目の前の生産者さんに貢献しようということでスタートしたので。最初、まだ事業がない段階で断られていた時は、「まあいいか」と。融資とか、他の手段で資金集めをしていました。でもやっぱり大変だったのは、ご覧になったテレビ番組の中でも話した、2019年の2億円の調達の時です。
福田:何回目ですか?
秋元:エクイティ(株式)での調達としては2回目ですね。断られて大変でしたが、たくさんのフィードバックをもらったおかげで結果的に事業は大きく成長しました。そのあともう1回、3回目で6億円の調達もしています。
福田:断られた数だけ、成功の精度が上がるということですね。
秋元:そう思います。なので、今では断られてよかったと思っています。事業が回り始めた時と決まったタイミングでは、やっぱり事業計画の精度も、戦略も全然違いますし。
福田:断られた理由みたいなものは、どうなんでしょうか。参考になりましたか?
秋元:感覚値ですけども、7割は説明不足でした。自分の中では答えを持っているんですけど、ちゃんと伝えられていなかったり、言ったはずなのに何か勘違いをされていたり。例えば、今うちではオーガニックだけではなく、いろいろなものをやっているんですけど、最初は戦略的にオーガニックからスタートしていたので、「オーガニック市場は小さいから」という理由で断られました。「あ、それはもともと違う、という話をしたけど、そこは聞いてもらえていなかったな」ということとか。たしかに資料には書いてなくて、口頭で話していたとか、ちゃんと伝えてなかったのが大体7割くらいだったんですね。なので、ここはもうどんどん資料にしていくということで解決していきました。残りの3割は、やっぱり本質的な課題で。(たしかにちょっと戦略が甘いな)みたいなところをつかれたという感じです。ここはやっぱり愚直に、事業計画に反映していきました。