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『Ribbon』の劇場公開が誇らしい

“のん”という熱量が生んだ映画『Ribbon』製作統括・福田 淳×エグゼクティブ・プロデューサー・宮川朋之 (後編) Talked.jp

福田:日本のエンタメ業界は、オンライン化に乗り遅れちゃった。DX化もしてなかった。でも、そこをもがいて、次の世代に切り開けるとすれば、「日本映画専門チャンネル」とアニメ専門チャンネル「アニマックス」だけじゃないでしょうか。つまり、それまでに蓄えたものもあるし、蓄えたものがあるということは、心の余裕があるということ。「のんの作品も粗削りだけどやってみようか」と思えるということは、企業の余裕ですよね。そういう遊び心の有る無しが、次世代に必ず結び付く。それがなくものづくりを続けていると、「この原作者、漫画も流行ってるみたいだし、まぁまぁイケるんじゃない?」「松本清張が没後◯年だからスペシャルドラマやっておこう」と、守りに入る一方ですよね。もちろん松本清張さんの原作も素晴らしいですよ。けれど現代にはもっとたくさん素晴らしい原作者がいるのに、それを無視して過去の大作家の作品だけしかやらないというのは、現状維持というより、むしろ衰退ではないのかと思いますね。だから、今回の『Ribbon』のような、ふと情熱から沸き起こった企画に乗ってくださる余力がある、企業文化のあるところは本当に素晴らしいなと思います。

宮川:2月25日からイオンエンターテイメントが中心となって、イオンシネマはじめ、都市部はのんさんとゆかりのあるテアトル新宿やテアトル梅田などで上映されています。のんさんの初劇場映画ということもあり、上映したいという劇場が増えており、現在、対応を進めています。
のんさんは、性別も国境も越えているビヨンド的な存在。国内に留まることなく、バンバン海外にも展開していきたい。コロナ禍で劇場へ足を運べなかった人もいらっしゃるでしょうし、劇場公開後には配信も展開していきたいですね。

福田:心強いです。

宮川:一人でも多くの方に見てもらい、いろいろな感想をいただき、のんさんにフィードバックしたいですね。おそらく、良い意見も悪い意見も多数寄せられるでしょう。その全てをのんさんと共有し、次回作につなげられたら最高だなと思っています。

福田:先程もNetflixの話で出たように、今は素晴らしい作品を作り上げることができれば、世界中で公開される仕組みができあがっています。なので僕は、これからは本格的にドラマ作りをやっていきたい。Netflixに対抗していくわけじゃないんですけども、とにかくいい脚本。いい脚本を読みたいですね。資金を集めて、透明な仕組みの中でヒットを出せば、きちんとリターンが得られる体制であることを示していきたい。個人的に、今年はエンタメ産業を他の産業と同じようなクリアな産業に勃興させる年にしたいと思っているんですよ。なので『Ribbon』の劇場公開は本当に誇らしいし、ぜひその一助になればと思っています。宮川さん、今日はお忙しいところ、本当にありがとうございました。ご一緒できて、本当に嬉しかったです。

宮川:こちらこそありがとうございました。対談というより、福田さんの話がたくさん伺えて、楽しかったです。

福田:こんな話でよければ、またいつでも!(笑)

Ribbon 映画紹介

『Ribbon』

脚本・監督・主演をのんが務めた初の劇場長編。のんが監督を務めるのは、YouTube Original『おちをつけなんせ』(2019年)に続き、2作目。多くの卒業制作展がなくなり、青春を奪われていく学生たちの悲しみを目のあたりにしたのんが、世の中の擦り切れた思いを救い上げたいと企画。脚本も手掛け、のんらしい元気とエナジーで、美大生がアイデンティティを自らの手に取り戻す作品。
特撮チームには、『シン・ゴジラ』監督・特技監督の樋口真嗣、準監督・特技統括の尾上克郎が参加。主人公・いつか(のん)のさまざまな感情の流れを、特撮によるカラフルなリボンの動きで表現している。
主題歌『ボクだけのもの』は、サンボマスターが『Ribbon』のために書き下ろした新曲。また、予告編篇を岩井俊二監督が制作している。
アジア最大規模・第24回上海国際映画祭でGALA部門に選出。

【Story】

コロナ禍の2020年。いつかが通う美術大学でも、その影響は例外なく、卒業制作展が中止となった。悲しむ間もなく、作品を持ち帰ることになったいつか。
いろいろな感情が渦巻いて、何も手につかない。心配してくれる父・母とも、衝突してしまう。妹のまいもコロナに過剰反応。普段は冷静な親友の平井もイライラを募らせている。こんなことではいけない。画を書くことに夢中となったきっかけをくれた友人との再会、平井との本音の衝突により、心が動く。未来をこじ開けられるのは、自分しかいない。

出演:のん 山下リオ 渡辺大知 小野花梨 春木みさよ 菅原大吉

製作:日本映画専門チャンネル / non / スピーディ / コミディア / インクアンク

https://www.ribbon-movie.com/

(了)

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