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プロボノが広告人を育てる理由①

広告を語ることは、世の中を語ること。~広告界の巨匠に聞く、「夢中」の見つけ方(後編)  Talked.jp

杉山:プロボノほど自由で、かつての、クリエイティブの自由度を手に入れることができるものはないと思いますね。

福田:プロほど「利他精神」が必要な理由についても、ぜひお伺いしたいですね。先ほどアマチュアの定義も出ましたけれど、プロボノというものが広告人を育てるのはなぜでしょうか。

杉山:思いやり、みたいな、あまっちょろい言葉では解説したくないんですよね。だけどプロボノって、基本無償でやるわけだよね。つまり無償でやるということは、自分で考えなきゃいけないわけですよね。「無償でやるんだから文句いうな」ということは脇に置いといても、やっぱり無償でやるがうえに、自分で責任を持って、自立的に物事を考えなきゃいけないし、相手のことも考えなきゃいけない。だからこそ、「巨大な自由」が実は手に入る。 無償というのは、巨大な自由が手に入って、それは一瞬、クリエイティブについてまわるお金のことを忘れられることでもある。広告はそもそもビジネスだから、お金のことを忘れちゃいけないんだけど、でも表現を作る段階では、そんなことは一瞬、「パン」と消えてなくなる「間」があるんだよね。真空というかね。その真空の快楽を知ると、解説的に言えば、シナプスがどこかつながるんだね。一回つなげることを味わうと、わりと毎回、短時間でつなげることができるんだ。それはスポーツと似ているのかな。いわゆる「ゾーンに入る」っていう状態があるでしょう。

福田:ありますね。

杉山:その「ゾーンに入る」ようなことができるようになると、物づくりも快楽になる。きっとその時、一瞬ドーパミンとか脳内物質がババババって出ると思うんだけど。今、普段の日常があまりにもリアリティーすぎて、生々しい経済合理性で動きすぎているので、その快楽を知るための手段、シナプスをつなげるという喜びを知る機会が少ないんだよね。 でもプロボノは、一瞬それを忘れさせてくれる。さっきの僕の言葉で言えば、「夢中」だね。「夢中」というのは、小さいか大きいかは別にして、さらなる「夢中」を味わうことができるんだよ。

福田:ああ…なるほど。

杉山:だから、プロボノってなかなか宝だと思っているんだよ。

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