オール・オア・ナッシングが面白い!
福田:山本さんがコンサルティングとして相談されているクライアントの方は、今どういうことを求められて来られる方、多いんでしょう。
山本:実は、私もプロジェクトのコンサルティングはほとんどしていなくて、お仕事として受けるは、プラットフォームをつくりたいという企業の方のコンサルが圧倒的に多いんですよ。プロジェクト単位になっちゃうと、ほとんどの場合、責任もすごく重いので、例えば福田さんから「何かやるからちょっと相談乗ってよ」って言われたら、喜んでお引き受けするんですけど、全然、知らない人から「クラウドファンディングでこれを集めたいから、ちょっと入ってくれ」って言われた場合、その人がどんなに偉くても、責任が重くてちょっと入れないですね。特に自分ではまだ良さにぴんとこないプロジェクトやまだ信頼を築いて方と一緒に心中はできないので。ただ、プラットフォームビジネスも実は大変なので、あまり積極的にお勧めはしませんけれど。
福田:草創期なんでしょうね。プラットフォーム乱立して、ガソリンが多くていい思うんですよ。僕はテレビ業界が長かったんですけども、1989年にスカイポートという民間衛星を使った有料テレビサービスがあって、その後、1994年にスカイパーフェクTVがあって、1998年にソニーやニューズが中心となってJスカイBが出て、同時期にディレクTVがあって、今はスカイパーフェクTVで一つに統合されました。お客さんが見たいのは、ビヨンセのライブであって、それを放映してるMTVであって、それを美しく課金してマーケティングしてくれるのがスカイパーフェクTVに過ぎないんです。業界から見たらプラットフォーマーであるスカパーが偉いのかもしれませんが、本当はユーザーから見たら、コンテンツ番組そのものが一番大事なんです。
欲しいモノを、たまたまキックスターターであるに過ぎないんです。いまは、たくさんのプラットフォーマーが乱立すると思いますが、2、3年経つと整理統合されると思います。
その中で新しいモノがどんどん創られたらいいし、逆に、「ちょっとすいません。お金出してくれませんか」と企業に持ち込まれた案件が「いや、そそれなら自分で資金集めるよ」となったら面白い。企業はその企業の器でしかできない投資をしてほしいですよ。もちろんテストマーケティングの場としてクラウドを活用するのはアリです。
沼田:もうひとつ面白いのが、クラウドファンディングの一番典型的な仕組みってオール・オア・ナッシングといわれていて、ある目標金額が例えば「200万円集めたい」だったら、200万円に届かなかった場合は全部、払い戻しでなしになっちゃうんです。これはキックスターターが取っている仕組みなんですけど、成功しないともらえないというところが面白いなと。というのも、僕はよくいろんなプロジェクトを支援するんですけども、支援した瞬間はまだ払うことが確定してないというか、あくまでも「予約状態」なわけですよ。成立した場合は「俺が1000円出したから、これ成功した。半年ぐらいたったらリターンも返ってくるだろうから、楽しみに待っていよう」と納得し、成立しなかった場合も「1000円返ってくる。無駄遣いしないで済んだ」と納得するんです。無駄遣いになるかならないか分かんない。どっちに転んでもいい。あとは天に委ねるみたいなところが、オールorナッシング形式のクラウドファンディングの面白さなんですね。だから、実はクラウドファンディングってリピーターも結構いまして、うちでもこの前、調べたら13パーセントとか出ていたんですけど。
福田:なるほど、参加感、ライブ感なんですね! 実は僕、それも聞きたかったんですよ。なぜ、期限がくるまで成立するかどうかわからないギャンブル性が要るのかと。集まった分だけで、完成させられないような分野のものはダメなんでしょうけど。