A-:先ほど、従来の寄付だと、寄付している側には分からないところで手数料などが取られてしまっているとのことでしたが、私も寄付型のクラウドファンディングに関わった際、クラウドファンディングの場を提供している会社側に、集めたお金のいくらかを手数料として払わなきゃいけないことがありました。本当100万円集めたいけど、リターンとか、手数料のためにお金が掛かるのは大変です。従来の寄付のやり方との圧倒的な差別化というか、違いがあんまり感じられなかったのですが、実際はどうですか?
沼田:さっきのクーラーボックスの場合、15億円集まったという寄付は、正確に言うと、売上高15億円ということで、実際、利益が手残りで幾ら残ったかについては、プロジェクトによって違います。だから100万円集めてもリターンがどれぐらいコストを要するかで、80万残るものもあれば、30万円しか残んないものもある。あとプラットフォームによって10パーセントとか20パーセントとか手数料が取られるので、購入型のクラウドファンディングに関して言うと、それを最初から引いて考えないといけないというところもあると思います。購入型はあくまで予約販売の延長だと考えるとわかりやすいと思います。
これすごい面白くて、薄利多売じゃないですけど、1万円で9000円相当分ぐらいのものがもらえる場合はやはり申し込みの具合は良くなります。逆に言うと、1000円ぐらいのものしかもらえないってなると、きわめて寄付に近いなというので、入りは悪くなります。だからそのバランスが難しい。リターンの設定は、結構、人間心理というか、テクニックがものを言うところがありますよね。よく松竹梅って言いますけど、おすし食べに行って、3個コースがあったら、みんな真ん中選んじゃう。それと同じで、1番手残しがつくれそうなリターンにみんなの支援を寄せるには、その前後をどういうふうに作ったらいいのかとか、そこまで考えて工夫している人もいます。
福田:やはり前提として、自分がやりたいことのストーリーがその人の中にあって、じゃあこれはこのタイプのプラットフォームを選んでやると寄付型だったり、物作りだったり。いずれにせよイノベーティブなものをつくるということはそれで全部、完結する話じゃなくて、そこからまた物作りが始まるわけですよ。当然、原価も掛かるし、もしかしたら開発費倒れするかもしれないし、その辺の見立てが大事ということです。
山本:あくまでも個人的な意見ですが、わざわざコストをかけてリワードをつくるような仕組みのプロジェクトは購入型のクラウドファンディングには合っていないと思います。例えば地雷除去など大義があるものは、お金を出しているほうもそれに100パーセント使ってほしいはずなので、寄付のほうが合っている。やりたいことによって、寄付にするか購入型にするか、適した方を選ばれたらいいと思います。
B-:二つ質問があります。今、クラウドファンディングというビジネスをやる上で競合はあるのか。あと、やはりビジネスだから個人のチャレンジャーを獲得しないといけないと思うんですけど、それを得るために、どういう努力をしているのか、教えてください。
沼田:競合他社さんは、たくさん居ます。日本ですとメイン所でも7、8社ぐらいかな。GREEN FUNDINGはお陰様で流通額ベースで言うと、上位5番手以内にはつけています。もっとちっちゃい会社も入れたら、30とか50とか、たくさんあります。ただ、どの産業でもそうだと思うんですけど、市場全体が広がっているときは、まだ内輪同士の戦いにまではなりません。どっちかというと、他社よりもいかに早く新規の獲得をできるかみたいなフェーズになるのかなと思っています。
そのためにどういう努力をしているかというと、GREEN FUNDINGの場合、やはりパートナーシップというのを他社よりも重視しています。いろんな人が自分たちの仲間になってくれれば、どこかで案件が入ってくるかもしれない。自分たちだけで獲得するんじゃなくて、利益半分になってもいいからパートナーに半分を渡して、そのジャンルに通じている人たちがどんどんプロジェクトを拾ってきてくれるような仕組みでやっています。もちろん我々が直営サイトでも面白いプロジェクトを成功させないと、そういうパートナーさんも獲得できませんので、自分たち自身でも面白いプロジェクトを積極的に仕掛けていき、そこをフラッグシップにして、他のパートナーさんにもどんどん入ってきてもらえるよう努力しています。
C-:金融商取法の施行で株式型のクラウドファンディングが解禁されると思うんですけど、これにより業界はどのように変化していくのかについて、お聞かせください。
沼田:さっき簡単にご説明したお金にまつわるリターン、「これを1000円で投資したら1500円になって返ってくるかもしれない」という「金融型」「投資型」のクラウドファンディングに関して、今までは厳しく金融庁の規制がありましたが、今年の5月から一応緩和されることになりました。正確に言うと、特定第一種と特定第二種という新しい免許ができるということなのですが、まだまだ規制は残るんじゃないかなと思っています。学生の方がパッとやりたいみたいなことは、今の規制緩和ではまだ厳しいかもしれません。
福田:じゃあこの辺で終わります。どうもありがとうございました。
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