設定額には情熱と冷静が必要
沼田:確かに設定する金額が意外とその人の審美眼みたいなのを表しているという面はあるかもしれません。自分にやりたいことがあって、これぐらい必要で、みんなも助けてくれるよね、というバランスがいい人は成立しますが、そこがずれている人、みんながそこまで乗り気になっていないのに独りよがりで「1億円集めるんだ」とか言っている起案者はまわりが無謀な設定額に引いてしまっていることに気づかない。結果としてプロジェクトがしらけてしまうのか、確かに集まんないことが多いですね。
福田:僕の場合、特にエンタメ系の人たちがクラウドファンディングを試す場合に、なんか集まらないと怖いし、一口1万円でやってみようかということで、異様に設定金額が低かったりしますよね。
沼田:あります。30万とか。
福田:「それで、達成した!」とかっていっても、額がしれてるので本当はそれ以上のバリューがあるケースが散見されます。かえって娯楽カテゴリーの価値をさげてしまうケースがあるんですよ。でもそういう人は出版社やテレビ局など企業からのお金集めの歴史が長いんで、どうしてもそのフィルターで自分のポジションで見ちゃうですね。
沼田:確かに、みんなから「失敗した」って思われなくない人はアメリカより多い気はしますよね。アメリカ人、人知れずすごく失敗しているというか。キックスターターの場合、成立するのは大体・・・。
山本:40パーセントぐらいですよね。
福田:そんなに不成立しているんですか。ほとんど半分以上が集まらないと。
沼田:GREEN FUNDINGでは3分の2くらいが成功していますね。日本人は失敗したくないという気持ちが強いので、金額を50万ぐらいからスタートさせる人が多いです。もちろんまだまだまわりでもクラウドファンディングに挑戦したことが少ないと思いますので、個人的にはまずは一度小さい額で成功体験をしてみる、っていう戦略も悪くないとは思っています。
山本:見ていて思うのは、個人、企業に関わらず、成功される方って、例えば500万だったら500万集めたいのかを説得しなくちゃいけないので、納得できる目標額を設定できる。自分には今、あの人たちもいるし、この人たちもいる、その人たちに頼めば、このくらいは集まるかな、という計算を冷静にやった上で、プラス熱意がどれだけかあるか。クールなところと熱意なところをちゃんと表現できる人が集めている。単に熱意で「1000万集めます」と言っても集まらないし、「いや、僕、10人しか友達いないし」って「10万円」とか言う人は人で、それクラウドファンディングやっている意味ないんじゃないかなって。プラットフォームに20パーセントも手数料取られるんだったら、個人的でいけばいいじゃんというのもあるので、やはりきちんと戦略を立てられる人でないと難しいですね。