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「アートを通じたファンドレイジングの可能性」世界ポリオデー・アートフォーラム 2016 (Art Forum 2016 in World Polio Day) Talked.jp

初めてアートを買う人に、 「売上金で社会貢献もできますよ」

福田:ここからは自分のやってきたことの自慢大会になりますよ。

坂之上:私は福田さんのことをよく知っているんですけど、本気でやってるから、自慢してちっとも、構いません。どんどんして下さい。(笑)

福田:ありがとうございます。

坂之上:NPO業界に対する寄付が半端じゃないですもの。

福田:法人税でも個人の税金でも、世の中をよくするためには大事なものだと思うんですけど、企業も、株式の配当だとか、スタッフに対するもちろん給料だとか、いろいろある。ただ、実は日本の会社って内部留保めちゃくちゃためているんです。どうするんですかね、そのお金・・・。

坂之上:内部留保じゃないんですって。投資とか困った時の・・・。(苦笑)

福田:翌年の投資のためとかいろいろあるでしょうけどね。私は、それよりも極力自分が気になって関わった人に寄付したい。ただそうやっていろんな寄付活動しますと、「私にもください」「こっちにも」って頼まれます。全部はできないですよね。僕、それでいいと思ってるんですよ。
全部自分でできないし、でも自分がやったことで、幸せの連鎖が起きれば良いと思ってます。
土屋秋恆さんとはこの4年間、ファンドレイジングを目的とした非常に小さなギャラリーで、小さな作品を大体30点ぐらい描いていただき、普段の彼の価格の4分の1とか5分の1にしていただいて展示販売しています。なぜかっていうと、アートコレクターのための販売にしたくなかったんですね。なるべく初めてアートを買う人で、なおかつ「売上金で社会貢献もできますよ」ということで、世界の鳥だったり、戦うお魚だったり、毎年いろんなテーマを土屋さんに出していただきまして。

坂之上:この時に、福田さんはそこに行って「飲んでるだけ」ってよく言っらっしゃいますよね。(笑)

福田:本当に年々、何もやってないんですよ。「なんかこの発想すごいな」と思った自分に酔いしれちゃってね。でも、続けるためには一球一球あんまり魂込めないで、「とにかくやる」っていうのが大事なんですよ。

坂之上:大事です。

福田:ふんわりと、でも、毎年やってるんですよ。去年でしたっけ、鴻巣麻里香 さんが作った「KAKE COMI」という福島の子どもたちに美味しい食事を提供する場所があります。「なんで始めたの?」って理由を聞いたら、震災後、学校再開しても不登校が増えたんですって。というのも、お父さんとお母さんがパニックになっちゃって、それが子どもにもうつっちゃったんです。そこで、この「KAKE COMI」でおいしいご飯を食べるコミュニティーをつくって、みんなが大丈夫だよって安心させようという目的でやったら、これが非常にうまくいった。こちらにも寄付をしています。

安倍首相も絶賛! みんなでただ歩くだけなのに、参加費5000円。 集まったお金は全てモザンビークへ。

プラ子と散歩
プラ子ちゃん応援企画!プラっとさんぽ

福田:あとは、坂之上洋子さんと一緒に7、8年? もっと前からやってますかね。考えてみたらこの試みもすごくてね。公園歩いてみんなと話すだけ。その参加費を全部モザンビークに送るっていう。これも述べ800万から1000万円ぐらい寄付してるんですよ、モザンビークに。

坂之上:そうなの。みんなで一緒に歩こう、というだけ。

福田:最初、8、9年前にプラ子ちゃんっていう元109のガングロ店員の子が突然思い立ってバックパッカーで世界を回り、モザンビークを支援するようになったのがきっかけでした。彼女のブログ読んで、自分たちにも何か協力できないかって、そのときに、僕が「じゃあ渋谷のクラブにDJ入れてライブやってその収益の一部を」って提案したら、「そんなの大変そう〜。歩くのどう?」って言われて、「歩く? どうして?」っていうことで始まったんですよね。

坂之上:そうですね。

福田:土日の空いてるときに2時間か3時間、ただ歩くだけなのに、参加費4000円とか5000円で、懇親会実費の割り勘で。でも、毎回20人か40人ぐらいの応募枠で何倍もの人が来てくださいます。

坂之上:それこそ主婦、ダンスの先生、政治家、IT企業の社長さんとか、いろんな人が参加してくださって。「何なんです、ここの集まりは?」っていう人たちと話をするの楽しいじゃないですか。そういう新しい形のファンドレイジングですよね。

福田:この活動は募集については全くネットを介していないんですけれども、1回10万とか20万とか、そのイベントのために寄付してくださる方がいるんで、やってるうちに1000万近くなっちゃった。  長く継続的にただ歩いてるだけですが、うちはネットの会社なんで、ソーシャルメディアで大げさに言ったりするの得意ですから、「こんなことやってますよ」ってバーッと言ってると、その記事が常に検索に残るんですよね。そしたら安倍首相までモザンビーク行ったときにこの活動について触れてくれました。

坂之上:そう。

福田:安倍さんよく見つけたなって驚きましたが、ググったら出てきたそうです。

坂之上:すごいですよね。安倍首相がモザンビークの大統領の所に行ったときに、このプラ子ちゃんの話が出て、「私も負けられません」っていう演説をしてくれたんですよね。

福田:ありがたかったですね。それから新聞も採り上げてくれて、書籍でも何冊か出て、今は継続的な支援者も多くて、非常にうまくいったケースだと思います。

大事なのは参加感。 おにぎり食べて投稿するだけで寄付になる!

おにぎりアクション
世界食料デー ソーシャルアクション・おにぎり写真投稿で寄付!

福田:あと、サントニーニョは北マニラのスラムで暮らす子どもたちで、1日の食費が12円。大変貧しいんですよ。僕がセブ島に遊びに行ったときにホテルは素晴らしいんですけど、周りがあまりにも悲惨だったんで、何だろうと気になって、ここを見つけました。以来、毎年、「今年のテーマはここ」って決めて今でもこのプロセスで寄付しています。
 他には、ちょうどこれ今やってるところなんですが、「TABLE FOR TWO」っていう小暮真久さんっていう方がやっているNPOの活動も支援しています。肥満の子どもと飢えた子って世界に10億人ずついるそうで、食べ過ぎの子どもの食事と貧困の子どもたちの食事を交換すれば世界がフラットになるじゃないかっていう理想を掲げたNPOなんですが、おにぎりっていう言葉、今、日本だけでなく、グローバルになってるんですね。

坂之上:日本だけじゃなくて?

福田:「おにぎりアクション」(#Onigiriaction)っていうハッシュタグを付けてTwitterでもFacebook、インスタグラムで投稿すると、投稿一つにつき協賛企業が100円、アフリカで言うと5食分の食料を寄付するって活動なんです。サイトを見ると、日本はこれだけ、どこの国どれだけって出てくる。日本だけじゃないんですよ。うちも入ってますけど、他に4社のかたがたに協賛していただきまして、去年からやっています。今年に入ってから、このおにぎりアクションのハッシュタグが多すぎて、今、協賛企業の資金が底を尽きそうになってるんですね、でも、それはうれしくって・・・。

坂之上:あまりにはやりすぎた。

福田:皆さん、遠慮せずハッシュタグ付けてやってくださいね。毎朝おにぎり食べる人が投稿するたび、僕、ネットで見ていると、どんどんアップされて・・。でも、うれしいことですよね。寄付できるんですから。

坂之上:すてきです。

福田:だから、参加感が大事なんです。個人で参加したことが間接的に支援になっている。ただおにぎり食べて投稿するだけで、それがアフリカで100円になるっていうのは素敵なアイデアだなあと。

子供相撲を支援するため、 断髪式の参加費用をクラウドファンディングで!

角界史上初!断髪に参加できる!バルト(元大関 把瑠都)の新たな門出を応援しよう!
角界史上初!断髪に参加できる!バルト(元大関 把瑠都)の新たな門出を応援しよう!

福田:これもまたちょっと変わってるんですけど、把瑠都関って元大関が引退するときに「震災地域の子供が非常に暗くて、子ども相撲が滞ってる。ボランティアで支援したいのだが、資金が足りない」という相談を本人から受けまして、じゃあ、「断髪式の参加費用をクラウドファンディングで集めて、運営資金の足しにしたらどうか」って提案したところ、相撲協会に怒られましたね。

坂之上:怒られたんだ(笑)

福田:「伝統はそういうことじゃないんだよ」と。でも、把瑠都は外人なので、もともと年寄株持てないし、もう引退するしかないから平気じゃんというような感覚でやらせてもらいました。断髪式で1回ハサミ入れる権利が10万円とか、手形がもらえるとか、何個かメニュー用意したんですけど、3日間で126万集まりましたからね。そんなにたくさんの人に髪切らせたら坊主になっちゃいますから、全員はできなかったんですが。そもそも断髪式は、一般の人が簡単に参加できるものじゃないんですよ。本当はタニマチ筋とか関係ある人じゃないと切らせてもらえないわけです。「こんなことをクラウドファンディングでやっていいの?」っていうことで、伝統世代からは顰蹙を買ったかもしれません。

坂之上:たぶん顰蹙かってたんでしょうね〜。(笑)

福田:僕もちょっと名士になったような気持ちでね。力士を応援するために、こういうお金の集め方も面白いなと思いました。普段参加できないことに参加できて、しかも貢献できると。

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