偉大な経営者のほとんどはSF小説が好きだ
北川: 時間の使い方って、世界観の体現だと感じることがあります。いろんな人がどうやって時間過ごしているか体験するっていうか、見るのが、僕すごい好きなんですよ。
福田: それVRにして、いろいろできると面白いですね。
北川: そうなんですよ、僕もそう思っています。
福田: マエストロの一日とかね。
北川: そうです、なんかすごい魅力を感じるんですよね。前もお話したかもしれないですけど、僕、住宅を見るのがすごい好きなんです。ある住宅をパッと見た時に、コーナーに三輪車が置かれている状況だとか、草花が生えてる状況だとか、そこに住んでる人の生活の仕方、時間の使い方が垣間見られる。
福田: 面白い。
北川: それを想像して、楽しむんです。
福田: 青山裕企さんって、フォトグラファーがいるんですが、彼が新しい企画をやりたいって言ってきたんです。まだ実現してないですけど、透明な普通の家を造って、そこで主婦の一日を撮りたいと。お風呂を入れながらトントン、ネギ切ってって様子をドキュメンタリーで撮って、主婦がいかに重労働か見せたいって。「それ面白いね」って乗ったんですが、透明の家をどうやって造るかというところで、くじけているんですけど。なんか人の一日の興味があるってよく分かりますよ。
北川: 無印とか一緒にやってくれそうですけどね。そういう思想ありそうだから。
福田: 偉大な経営者のほとんどはSF小説が好きだって記事で読みまし。確かにSF小説って、火星に住みたいとか、透明人間になりたいとか、小学生の夢想のようなものなんですよ。でも、それ好きだった人が経営者になってるっていうのは僕、分かるなと。 だから大きい会社になるとまた違うんでしょうけど、やっぱりマネージしようと思うわけですよね。さっきも言いましたが、従業員の時間を「給料」というお金で買っているという考え方になりがちです。もうチャップリンの『モダン・タイムス』から発想変わってない企業が多いですよ。そうじゃなくて、やっぱりリーダーだったら、マネージするよりもリードしてくれ、と。何かのインタビューでもおっしゃられてましたけど、そのリードがめちゃくちゃで、時には怒ったり褒めたり、その時の感情で動かしていくって場合も、別にむちゃくちゃじゃなくて、経営のある理屈なのかもしれないって、僕はちょっと思いましたけどね。さすがに、常に怒ってばっかりだと嫌ですけど(笑)。
北川: 思いますね、それね。
福田: 最後に、北川さんが最近お仕事やっていて、エキサイティングなことって何でしょうか。
北川: やっぱり人ですよね。
福田: ぶれないですよね。本当に珍しい方だと思うんですよ。
北川: 本当ですか。
福田: だって、みんなお金もうけとか、ビジネスフレームの話の方が大好きじゃないですか。
北川: 好きですね、皆さんね。
福田: 僕、全然駄目なんですよ。
北川: そうなんですね。
福田:「あれがもうかる」とか、「これから上場する」とか、そういうプラン出されたり、パワポが送られてきて、後輩のIT社長に「どう思いますか」とかって来られると、もうげんなりして、それって目的なのかなと。結局、「あんたに言ってもらち明かない」と、それぐらい短期的なお金儲けに関心がない。
北川: なるほど。僕はまあまあ興味あるんですけど、やはりおっしゃるように、根源的に自分がどこに興奮しているかと聞かれたら、やっぱり人になるのかなと思いますね。例えば僕、この間出張で1週間アメリカにいたんですけども、帰ってきたら、うちのメンバーがミーティングやっていて、なんでか分かんないんですけど、自分のメンバーに会った時、何となくうれしかったんですね。うれしく思えたことが、またうれしくて、「きょうはいい日だったな」みたいな、そんな感じなんですよね。
福田: いいと思います。やっぱり人が好きっていうのがこの結論。いや、幸せテーマでいて良かったです。ありがとうございます。
北川:ありがとうございました。
福田:面白いな、教えてもらった本全部読みます。