AIによってできる膨大な暇な時間をどう使うか
河内山:ITで言うと、AIみたいな話もあると思うんですけど、そこら辺の話も福田さんに聞いておきたいのですが。
福田: こないだ楳図かずお先生と食事していて、AIの話をしたら、「あれ、アイって読むんでしょう」って。何でもクリエイティブに変換する人だなと感心したんですけど、確かにAIって日本語読みすると「アイ=愛」なんですよね。(笑)
今、第2次AIブームなんだそうです。第1次AIブームは2000年前後から始まったらしいんですけども、どこで行き詰まったかというと、AIに対してどういうテーマを与えるのかっていうところが難しいらしくて、いったん収束したんですね。でも今は、「ディープラーニング」といって機械自体が学ぶ力を持っているんで、また第2次ブームになっている。
機械が自分でいろんなことを学べるから、知的労働を奪う可能性もあるという話なんですね。極端に言うと、ターミネーターの世界を想像しがちです。
ただ、スタンフォード大学フェローのジェリー・カプラン氏が、「1800年当時のアメリカの職業分布図を見たら、80パーセントの人が農業従事者だったのに、2000年には1.7パーセントしかいない」と指摘していたのです。この200年の間に穀物は何百倍も取れるようになったのに、従事する人は激減しているわけです。AIが出る前に、もうすでに機械によって人の職業は奪われているんですよ。ただ奪われるっていうと、急に取られるって感じですけど、すごく緩やかに200年かけて、トランディッションが起きているんですね。
今後、僕らが次の時代に向けて大きな課題にしなきゃいけないのは、AIであろうがスマホであろうが、便利になればなるほど、この膨大にできた暇な時間、スペアタイムをどううまく活用するかってことだと思うんです。プレミアムフライデーを導入する企業も増えてますけども、働き方改革の前に、まず遊び方改革が必要なんですよね、本当は。AIが膨大につくる人間の余暇、時間に対して、きょうお集まりになってる皆さんがやられている「人が人を助ける」仕事だとか、AIに取って変われない分野に注力すべきなんですね。
ちょっと話戻るんですけど、囲碁でAIが勝つのはどうしてかというと、負けのパターンを3000万通りも学んでいるからなんです。たくさん負けを学ぶから、勝てるんですね。あるフレームがあって、ルールがあって、そういうものはディープラーニングによってAIは得意なんですよ。だから、人間が今後やっていかなきゃいけない分野は、困っている人を助けるとか、人を笑わせるとか、まさにクリエイティブそのもの、AIには予知できないことなんです。先ほどお聞きしたら、今回は8回目で、去年の倍くらいの方が参加されてるそうですが、すごく関心が高いという証ですね。ファンドレイジングが持っている、人間社会に対するポテンシャルの高さを表してるのかなと感じました。
ちょっと回りくどい話になりましたけども、AIだろうが、スマホだろうが、便利になった分、余った時間っていうのは、ただスマホゲームしてればいいってもんじゃなくて、やっぱり、なんかのテーマに対して、みんながストーリーを語っていかなきゃいけないし、シェアしていかなければいけないんじゃないかな、と思っています。
河内山: ありがとうございます。ということで、よりファンドレイザーが生きる時代になるみたいな感じですかね。