情報の流通経路よりも、質のいいコンテンツづくりが重要
福田:近年、フェイクニュースだとかでソーシャルメディア自体が叩かれて、Facebook社の株価が落ちたりしていますけども。FacebookのCOO・シェリル・サンドバーグは、「Facebookはテック企業であって、ニュース報道はやっていない」と、あくまでもメディアではないと言い続けていますね。
でもキュレーションメディアって、コンテンツそのものじゃないですか。Facebookもその中でシェアされたりするし。成瀬さんは、Facebookはどういう存在だと思いますか。メディアなのか、コンテンツ、雑誌、マガジンなのか。成瀬:Facebookはメディアではないと思います。メディアじゃないし、当然マガジンでもない。僕らにとってFacebookは流通経路、ディストリビューション先でしたから。
福田:そもそも、Facebookはコンテンツを作っていませんもんね。
成瀬:作ってないですからね。コミュニティといえばコミュニティだとは思うんですけど、あくまでもプラットフォームを最適化しているという感じです。コンテンツは、ユーザー一人ひとり。僕なんかは逆に、最近はFacebook離れをしてしまって。
福田:世の中に合わなくなってきているのかもしれませんね。どちらかというと、「中高年層が同窓会的につながるために発信している」というイメージがFacebookにはありますから。
TABI LABOの話ですが、コンテンツの流通経路の一つとしてFacebookがあって、Twitterがあって。そういう、SNSのどこにシェアされているのかっていう分析もされていたわけですよね。
成瀬:そうですね。流通経路によってコンテンツも変わってくるので。それぞれの流通経路に応じて、タイトルやクリエイティブを変えていくという戦略は考えていました。
福田:すでに記事はあっても、ですか?
成瀬:はい。例えばかつて「Vine(バイン)」という、6秒間ループ再生されるビデオクリップ を共有できる動画共有サービスが以前あって…。
福田:Vine、ありましたね。
成瀬:6秒動画、もう聞かなくなりましたけど。2年前くらいから、アメリカのニュースサイト「NOW THIS」に代表されるような分散型メディアが盛り上がったんです。日本でわかりやすいのは、レシピ動画アプリ「クラシル(Kurashiru)」とかですね。要は自社サイトだけでなく、FacebookやTwitterなどのSNSを中心に、コンテンツを分散させて掲載するメディア運営なんですが。
例えばインスタ用にはインスタ用のコンテンツが必要だし。FacebookはFacebook用、TwitterはTwitter用っていうので、それぞれに最適化した分散型コンテンツというのを作っていました。それぞれのプラットフォームに応じて、役割が違うので。
今はキュレーションメディアから離れているので、SNSでの流通経路やそれぞれの最適化は当時とは変わってきているところもあると思うんですけども、ただ本質はやっぱり、それぞれ流通経路は当然抑えながらも「どれだけ質のいいコンテンツを作り続けられるか」というのが大切じゃないのかなと思います。「質のいい」というところの説明が難しいんですけども、僕はそれを「匂いのある物語があるもの」と思っていて。