質疑応答④
リブランディングのタイミングはいつ?
質問者- リブランディングでブランドのありようをがらっと変えてしまおうということがあると思うんですけれども。そのときに、何をトリガーとして変えていくべきタイミングが訪れてくるのかなあと。そもそも想定していたブランドターゲットみたいなものを失ってしまったから、ブランドとしてポジションを変えなければいけない、そうじゃないと生き残れないみたいなタイミングがあるのかどうかをお聞きしたいです。
福田:ざっくりとしますけれども、リブランディングって、ウェブサイトのデザインぐらい常に変えていかなきゃいけないものと思います。会社の創業年だとかの区切りの時期にリブランディングしようってなることが多いんですが、実際、ユーザーと商品との関係性って、そんなに固定的じゃないですよね。
この間、ある百貨店グループのオーナーから、「最近、アマゾンのために商売しているような感じなんだよな」って言われたんですね。つまり、ウインドーショッピングのために百貨店に来て、気に入ったものはアマゾンでオーダーする。だから、空洞化しちゃうわけですよね。で、「どうしたらいいと思う?」っていう。
繰り返しなるんですけど、ブランディングの基本は、「その商品やサービスと、社会との接点をどう見つけるか」だけなんですよ。それを見つけさえすれば、あとの仕事は簡単です。
百貨店の何が面白くないのか考えてみました。若いアーティストの友達が、新宿伊勢丹のエスカレーター横のスペースに作品を飾っているというので、見に行ったらすごくよかったんですよね。それでスマホで写真を撮ろうと思ったら、3人ぐらいの人が駆け寄ってきて、「ここで撮っちゃ駄目ですよ!」って(笑)
その話を思い出して、先程のオーナーに申し上げたんですけれども。「インスタ映えする店舗にしてください」と。「百貨店を全部インスタ映えにしたら、売り上げが伸びますよ」と。多分、そのオーナーは僕が何を言ってるのかさっぱり分からなかったんだと思います。今の社会が外に求めていることって、まずインスタ映えが一つの要素としてありますよね。
でも逆に考えたら、アマゾンにとって百貨店は必要なんです。アマゾンのせいで小売りが「トイザらス」みたいにつぶれちゃうから、アマゾンは自分でスーパーまでやらなきゃいけなくなった。本当はやりたくなかったと思いますよ。「ああ、みんなが百貨店のウインドーで物を買いたくなって、そこからネットショッピングしてくれたら、それで良かったのに」って思うでしょう。あくまでも想像ですけどね(笑)
そうすると、世の中の見方が変わりますよね。実際これから、アマゾンは大変ですよ。つぶれた小売、百貨店をつくり直さなきゃいけませんから。
百貨店を経営している人たちは、是非インスタ映えするような店舗を作ってください。同時に今いる顧客やリピーターがもっと来たくなるようなウェブサイトの構築。例えば、ビームスには素晴らしいeコマースのサイトがありますけど、eコマースで服を買う人の7割が店舗によく来る方なんですよ。
わかってない経営者はeコマースで新しいお客さんを取るって言うんですけど、新しいお客さんを取るのは、ネットでもリアルでも大変コストがかかって大変なんです。しかも歩留まりも悪い。だから贔屓にしてくれる人とその友達を増やすためにリアル店舗とネットメディアの強力な連携を考えて進めるべきと思います。
だからリブランディングっていうのは、社会との接点が変化するたび、常にやらなければいけないことだと僕は思います。
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福田:1回目のゲストが坂井先生で、大物過ぎて集客力があり過ぎたので、みんなの忘れた頃に2回目をやろうかなというのが雑感でございます(笑) 今日はみなさん、本当ありがとうございました。
坂井:どうもありがとうございました。
(了)
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