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「お天道さま」ならぬ、 「インターネットが見ている」時代

脳を知れば、未来は変わる Talked.jp

福田:僕はブランドコンサルティングの仕事をしているのですが、中にはインターネット上の炎上のご相談もあるんですね。そこでスペシャリストの弁護士さんにお願いして、IP開示からアドレスを辿って、分かった10人ぐらいの「ネトウヨ」と呼ばれている人を見つけ出すわけなんです。で、弁護士から内容証明を送ってやりとりすると、「すみません、コピペでした」とかいって、どんどん取り下げてくるわけですよ。ところが最後まで無反応だったり、言うことを聞いてくれなかったりする人がいて、その人のところに弁護士が行くんですよ。割り出して。イメージでいうと、ネトウヨって怖い人なんじゃないかと思ったら、至って普通の50代くらいのサラリーマンだったって。全部が全部じゃないですけど、イメージでいうと、くたびれたスーツを着た頭髪が薄い小太りの普通のおじさん……。そういう人たちがネトウヨの正体だったんです。

黒川:そうなんですか。

福田:だから、「違う自分になりたい」とか、そういう意識も根底にあるのかなと……。

黒川:ありますよ。それは恐ろしいですよね。

福田:恐ろしいです。21世紀はインターネット革命とともに始まり、たくさん素晴らしいイノベーションが起きたんでしょうけども、一方でそのツール極端に歪んだ自己表現に使わざるを得ない人たちもあわられ、混乱しているように見えます。

黒川:でもネットにもっと透明性が出ると、プライバシーはどこにもなくなって、そうなったら逆にみんな、匿名で炎上ということはできなくなるんじゃないですか。私も、かつて女性タレントのプライベートなLINEが流出したときから、覚悟を決めました。ネットのやり取りは、白日の下にさらされる日が来ると思おうって。スタッフへのちょっとした指示から客先のメールまで、ネガティブなことには触れないとか、自分のメールは、いつ、どこで見られてもいいよう、公明正大にしました。

福田:3、4年前にハリウッドのある会社で、幹部のメールが全部漏洩してしまったことがあったんです。メールの中には、黒人蔑視の表現などがあって、何人かの幹部がクビになったんですね。それ以降に入社した人たちが怯えて、なるべくメールを返さないようになって、全部電話になったんですよ。

黒川:そうなんですか。下卑たことやぶっちゃけたことなら、電話で言うほうが今や安全かもしれませんね。電話だって今やデジタル音声ですから、どうにでもなるんですけど、ここまでインターネットが進むと、もう公明正大にいくしかないと思います。

福田:ほぼパブリックってことですよね。世の中に名前が出ている以上、気をつけざるを得ないですね。

黒川:気をつけています。かつては「お天道さまが見ている」って言いましたよね。今や、お天道さまに変わって、それがインターネットですよ。「インターネットが見ている」。だから私、インターネットは神様になるなって思うんです。そういう意味でお天道さまと同義語だなと。

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