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デザインとアートの違いとは?

アートが変える新元号の社会 Talked.jp

デザイン系か、アート系かという話でいうと、今デザイン系が流行っています。昔からビジネスマンにとってMBA(Master of Business Administration)はキャリアに重要な資格です。そしていまは、それだけじゃダメなんですね。P&G、コカ・コーラ社など、ナショナルブランド企業のエグゼクティブクラスは、「アートについて語れなければ一流のビジネスマンといえない」と言われるほど、アートが必須な分野になっているんですね。検索すると、MFA(Master of Fine Art)の資格が取れる、サンフランシスコなどのアメリカの大学が出てくると思うんですけども、アートのことが分かっていなければビジネス世界でも認められないというのが面白いなと思います。

デザインとアートの違いを大ざっぱにいうと、「依頼主がいるか、いないか」です。デザインは、企業がやりたいことのイメージがあって、それを解決する手段として存在します。デザイナーが具体的にデザインして仕上がってくるもの。一方のアートは、あえていうなら依頼主は”自分自身”なんですよね。それは”社会から影響受けた自分自身”なのかもしれません。少なくとも依頼主は企業ではありません。そういう人たちが頼んでくるものと、自主的にアートでやっていいものの違いが厳然とあるんです。「企業というのは利潤を追求するものだから、アートなんていらない」という方もたまにいらっしゃるんですが、そういう人こそ社会を見てないなと思いますね。なぜなら、デザインは機能性を際立たせるという点で現実的な解決手法ですが、アートというのは、その企業、商品が社会とどういう接点をもつことによって機能だけではないブランドイメージを高める役割をします。だから、デザインのように短期的な解決はできないし、アートの活用は効果もはっきりしないし、時間もかかります。

ラグジュアリーブランドのアートの取り組みはわかりやすいですね。POLAも資生堂もルイ・ヴィトン、エルメスもみんな自分たちの美術館、ギャラリーをもっています。ブランディングのプロとしていうと、短期的な費用対効果だけを追及するのであれば、アートなんていらないんですよ。アートは逆に長期間にわたって企業や商品の高いイメージを保つのに貢献できる。短期的に収益が悪化したり、何かのアクシデントで炎上しても企業イメージを保つことに役立つのです。

ルイ・ヴィトンの例が分かりやすいんですけども、ブランドとしての伝統を守ることと、コンテンポラリーアーティストの村上隆さんとコラボ商品を作ることで、伝統と現代らしさの両方のニーズに応えている。つまり、伝統を守るために、伝統を破壊すること。その破壊するエネルギーというのが=アートのエネルギーです。そのことをヴィトンもPOLAもトップがしっかり分かっているんですね。アートに対する素養があるということです。

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