『寺はプラットフォーム、仏教はコンテンツである』(対談 青江 覚峰 氏 × 福田 淳 氏) | Talked.jp

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対談  青江 覚峰 氏 × 福田 淳 氏

福田:「向源」(*)というユニークな寺社フェスにかかわられていますね。 *日本最大級の仏教と音楽を軸としたフェス

青江:2012年までは仏教イベントだったんですけども、昨年は神社も入って、世界最大級の寺社フェス向源となりました。

福田:昨年は4月29日に増上寺でおやりになって。

青江:2014年で4回目になります。一番初めは2011年の9月でした。

福田:震災の年ですよね。

青江:震災が起きたとき、東京は決して被災地ではなかったものの、だからといって被害がないかというと、決してそうではなくて。やはり、すごく精神的にプレッシャーを感じる方や、何かをしたいっていう思いのある若い方がたくさんいました。でも、実際にそれで「すみません、ちょっと会社1週間休んで被災地支援行きたいんです」って言ったところで、会社側からしてみたら「うちの今の状況分かっているのか」と。当時、売り上げが10分の1に縮小されている会社もありましたからね、業界によっては。

福田:景気悪くなりましたよね。

青江:だから「この状態で休むとは何事だ。今こそ会社のために営業をしっかりしなきゃいけない時期だろ」って言われたときに、どうしていいのか分からなくなった人がいっぱいいたわけです。会社のための人生なのか、日本のための人生なのか、自分のための人生なのか、もう本当に分からない・・・。

福田:迫られたんですよね、多くの人が。

青江:決断を迫られた。でも焦りや不安ばかりが先立ち、決断をするための冷静さや心の余裕を失っている時期でもありました。なので、まずは「かかりすぎている負荷に気付き、少し自由になりましょう」。お寺という非日常の中にドボンと入って楽しんでください、ただ、それはJust funじゃなくてInterestingな楽しみ方ですよ、と。つまり、自分の自己に向き合う、自分の根源って何だろうという源に向き合う時間をとってみようということで、お寺に来て何もしないでリラックスして、この伝統的な場所で先人達がどうやって生き方を学んできたのかを知識じゃなくてハートで感じられるものをしようと。体験で体感したときに、自分の根源ってここだったんじゃないかと自ずと気が付くような仕掛けを作っていけたら、伝統がただの遺産としてでなく人々が今を生きる助けになれるんじゃないかって思いで、2011年の9月に第1回が開催されました。

福田:それはどこでおやりになったんですか。

青江:常行寺という、品川にある友光のお寺です。第1回は友光が個人でやっていたので、クリエイターが集まるパーティーみたいなものでした。第2回から僕も関わって、精進料理や、雅楽やお経に節を付けて歌う聲明というものなどをやりました。