『寺はプラットフォーム、仏教はコンテンツである』(対談 青江 覚峰 氏 × 福田 淳 氏) | Talked.jp

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対談  青江 覚峰 氏 × 福田 淳 氏

無料のイベントは嫌い

福田:僕も昨年参加しましたが、コラボがすごかったですよね。宗派を超えた声明公演の音の響きが、気持ちよかった。

青江:ああいう気持ちよさって普段なかなか感じ得ないのと。

福田:ああいう場がないですよね、一般の人からすると。

青江:あることはあるんですけども、劇場でS席5000円とかの世界になっちゃうんですよ。

福田:価格設定にマーケティングがないですよね。

青江:ないんですよ。高額にすると、金銭的、時間的にも余裕がある人は行くんですけども。そうすると自然に年配の方が集まってしまうんですよね。お寺での経験って、歳を重ねなきゃ分からないのかっていうと、決してそうじゃないです。むしろ若くて感覚が敏感な人ほど、感じ取れるものって多いと思うんです。だったらそれを500円、1,000円でやらなきゃいけない。お坊さんとして言うと怒られるかもしれないけど、僕は無料のイベントって嫌いなんですよ。無料のイベントだと、自分でお金払わない分、みんな真剣に聞かないんですから。

福田:分かります。

青江:500円でも1,000円でもいいけども、自分でお金払って自分で時間かけて来た以上、みんな真剣に聞くんですよね。で、真剣に聞いてつまんなかったら、「おまえ、これで1,000円取るのか」って言ってくれるんですよ。それがないと聞く側もつまらないし、やっているほうも成長しないんですよ。

福田:それには同意で、僕がなぜ青江さんに関心があるかというと、マーケッターだからなんです、きっと。いつもマーケットをご覧になっている、どんなお立場になっても。僕、大学のときに演劇やってたんですけど、演技も拙いし大して有名でもないので、友達親せきしか来ない。だからみんな、無料にしたりするんですね。でも僕は親せきや友達であっても、厳しい審判を仰ぐべきだということでいつも高い入場料取って、必ず黒字にしてたんですよ。それは黒字にしてもうけることが目的なんじゃなくて、どれぐらい真剣かっていうのをマーケットに問いたかったからなんです。後からの理屈かもしれませんけど、直観的にそういうふうに思ったんですね。
お金とるかとらないかって、こっちの緊張感によるんですよね。プロのアウトプット出したいか否か。それでいうと、向源のプログラムって、すごく豊富な人とサービスとコンテンツそのものできっちりとしたプライシングもされている。お坊さんとお話しするコーナーなんかもすごくアイデアに溢れてて、ああいう場でないとお坊さんと話すっていうこともないし。話したいと思っている人、多かったと思うんですよね。

青江:そうです。

福田:ああいうきっかけになったのが、やっぱり、寺社フェスによって寺社のコンテンツがプラットフォーム化するのって、すごいよかったと思いますよ。

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仏教はニーズ(苦)とウォンツ(欲)の違いを教えるもの