検索不要、自動リコメンドの社会へ
國本:やっぱり、基本が分かってないと経営も失敗しますよね。当たり前のことですけども。
福田:ですよね。だから会社経営とか、決算の見方とか、そういう基礎的なことは本を読んでおいたほうがいいと思うんですよ。AIだったらAIの仕組み。僕なら本を買います。検索だけでは、必要なことは教えてくれませんし。
國本:はい。逆に今、検索力が下がっているという面もありますけども。
福田:スクショ文化だから、とも言いますよね。
國本:はい。例えば「製造業の事例を知りたい」みたいな話はよくありますけど、そこはググればたくさん出てくるじゃないですか。でも、もうそこさえやらなくなっている、という話を先日メディアの方と話しました。
福田:そうかもしれない。ググればできるのに、それすらもやらない。あれはなぜでしょう。面倒くさいんでしょうか。
國本:そうですね。そこは逆に、私としてはチャンスだなと思っています。中国では、もう検索自体が減っていて、Baidu/百度(中華人民共和国で最大の検索エンジン)のシェアが下がっているんですけど。なぜなら、中国ではよく使うアプリでレコメンドされるからです。WeChat(ウィーチャット)などでは、アリババの情報も表示されます。TikTok(ティックトック)もなぜ流行っているのかというと、探さなくても自分の好きそうなものが出てきたりするから。
福田:なるほど。もうフィルターバブルの中でエンジョイ出来てしまうんですね。
國本:はい。出来てきていますね。
福田:先日、同じようなことを聞きました。もうみんな、Netflixではリコメンドのものしか観ないというんですね。みんなが知らないような作品をピックアップすると、話題に入っていけない。つまり、リコメンドされたもののほうが安全・安心で面白い筈だし、いちいちよく知らないものを観るような、面倒くさいことはもう止めようということですね。「もう自民党でいいじゃん」っていう心理なんでしょうか。
國本:自分で検索しなくても、どんどんリコメンドされていく社会がAIによって実現された時に、「何か新しいことを自分で探しに行こう」ということをしないと、出てこないですね。逆に、そこができる人は新しい価値を作れるので強いです。
福田:そこが長けていない人は、訓練がいると思います。とくに今はコロナで保守的な風潮になっているから、より新しいことをしないんですよね。しばらくはこの風潮が続くので、我々にとっては追い風です。