日本が将来誇れる分野とは?
福田:ここで、ちょっと大きなテーマを話したのですけど、日本が将来誇れる分野って何でしょうね? エンタメなんて全く競争力がなくて。例えば映画なら、国内ニーズが9割以上。一方、韓国は6倍ぐらいの稼ぎを海外から得ていて、国際化が進んでいる。日本が誇れるものというと、素材とか基礎研究とか、部品ということになるんでしょうか。日本電産は既にEV部品をモジュール化していて中国メーカーに採用されていてすごいですよね。特にニーズがあるわけでもない20年ぐらい前から開発を続けてきて、中国に売ることに成功したわけですけど。そういう風に、日本が今後成長産業を担おうと思っているところに「セキュリティ」って可能性ありますか?
二宮:欧米に比べると、めちゃくちゃ弱いですね。1歩先、2歩先の経済というか新しい源泉になるところでの仮説を立てて、どう対応していくかを構想するのが日本は苦手という気がします。目の前にあるものを一生懸命磨くことにかけてはすごいんですけどね。セキュリティというのは守る側の対策なので、そこに先行投資するという風にはなかなかならない。それがない前提でどこが儲かるかというと、多くの人が考えるのはバーチャルの世界。コロナの影響もあって、ゲームもスポーツもエンタメもそこにコンテンツを送り込んでマーチャンダイジングやイベントをやろうと考えるようになっていますよね。また、そこでブロックチェーンを使って日本のいい部品をどんどん売りたい。さらに世界に向ければ、日本だけのマーケットパイじゃなく、世界的に売れるようになる。そういう動きがある中で、「セキュリティは?」という議論は起こらないんですよ。