東京・沖縄 デュアルビジネスの可能性
福田:最後に僕の話を少しさせてもらうと、最近仕事で東京と沖縄を行ったり来たりしているんですよ。「沖縄好きなんですか?」って聞かれるんだけど、そういうことじゃなく、「パスポートがなくても行ける最南端だからだよ」と。みんなが二拠点生活、デュアルライフと言っている中、僕は自分の方法を「デュアルビジネス」といってます。東京が主でリゾートが従かというと、全然違う。それぞれがそれぞれの地域で経済的に成り立つという状況を作るのが「デュアルビジネス」なんです。
二宮:そりゃそうですよね。
福田:沖縄で農業やリゾート開発をやっているんです。この話をすると「ああ、土いじりですか」とか言われてイラっとしたりするんだけど(笑)。僕は、一切土には触らないです。たとえば恩納村では欧米や中国の人が土地を買ってリゾートを作っているんですよ。でも、規制によって農地は住宅に転用できない。だから、「農地バンク」っていうのがあるんですね。限界集落になったところの農地を、1000坪くらいで年間5万円か7万円くらいで借りることができるという。都市にいて農業やりたい人へマッチングさせているわけです。
二宮:1000坪でそれは安いですね。
福田:そう。僕も、それで始められるんです。これを産業として、地球を飢餓から救うために、どんなハイテクを使えば東京にいながら、スマホで農業できるのか考えています。農業に特別関心があるというわけではなく、社会の接点としてですね。今はコロナで自然にちょっと負けちゃっているけど、人類の文明が勝つとしたら、反自然っていうポジションしかない。だからそれを追求していこうと考えてます。
二宮:それはいいですよね。僕も石垣島とか宮古島に行ったりします。あの辺でしばらくぼーっとしながら、ダイビングしながら、色々なものを謝絶して。で、リフレッシュするとまた新しいことを考えたり。東京だけにいると僕はなんかダメなんですよね…
福田:都会にいると、自然との接点って、やっぱり人間自体に自然が必要なんだなと感じるじゃないですか。だから、ニノさんも宮古に行かれたりするんでしょう。でも一方で、電脳の世界の中での進歩をしていかないといけないわけですよね。
二宮:はい。当然ながら、東京って日本の中では人も一番いて、情報も回るとは言われているけれども、世界から見たら同じ日本人っていう。同じ種類の人たちが同じように知っている情報、しかも世界で起きていることからすると3次情報4次情報をぐるぐる回しているだけ。福田さんのおっしゃる「ワイドショー脳」ですよね。70億とも80億人ともいわれる世界の中で、1億人ぐらいが回している情報の差って非常に大きいから、外で起きている事象と、ローカルとか身内とかを含めた内部の情報を両方しっかりと見ないといけない。そうじゃなければ、正しい判断なんてできませんよね。だから「正しい判断を持って早く動きましょう」というのがDXの世界だと思っているんですが、限定された情報、しかも3次情報4次情報の中で、「世界を舞台に」とか言っててもうまくいかないでしょう。 電脳の話でも同じ。同じような人たちが、ブロックチェーンがどうのIoTがどうのと言っても、「いやいや、世界で行われている議論と違いますよ」と。じゃあ、やるべきことは何なのかというと、世界の現場、いわゆる「本当の1次情報」にリーチしている人たちとネットワークを持って、その人たちから大量のインプットを得ること。現場でやっている人の肌感が最も重要ですからね。一見デジタルの話をしているようでも、結局人間がやっていることなので。そういうところから、いかに情報を引き出すようなネットワークを持てるかというのが大事だと思うんです。
福田:まさに。教育改革って言うけど、それにはまず、単純にみんなが英語を喋れるようにする。その努力が必要ですよね。そうじゃないと、ニノさんのいう、グローバルな一次情報のネットワークにつながることができないです。
二宮:そうですね。