音声が変える未来社会
緒方:一方、著書で書かせてもらったのは、技術が進んだことで情報端末として、音声端末が増えてくるということです。もう5年後、10年後には、「おじちゃんの時代って、画面がないと情報を入れられなかったの?」とか「生活しながら得られないって、生活を止めていたの?」とか驚かれるかも。
福田:実際そうですよね。僕もうちに帰ったら、すべて音声でライトをつけたり、エアコンをつけたり、テレビつけたりしていますから。
緒方:これからはみんな、「ただいま」と言うと情報が流れてきて、ベッドの中で「おはよう」と言えばニュースが流れるようになるかもしれませんよね。で、「え、昔って朝、わざわざテレビの前でスイッチつけて座ってたんだ??」って言われたりして。
福田:何なら、昔は手でチャンネル変えてましたからね(笑) そのあたりの未来予想図は、緒方さんの著書の冒頭に小説風に書かれているので、ぜひ読んでみてほしいです。
緒方:未来社会に向かう中では、人が生活をしている中で情報を出していくようになるので、今までの広告リコメンドの世界も変わります。今までは「35歳・渋谷・男性は、Aというコンテンツ」みたいな世界だったのですけど、これからは、「え? 朝食食べている時、走っている時、寝る前とお風呂に入っている時、欲しい情報って全部に違うじゃん」となっていく。「なんで同じペルソナは1日中、同じ物が欲しいと思っているの? あなた、朝ご飯と晩ご飯、同じものが食べたいの?」という。そういう話が当たり前になってくる時代ですよね。なので、未来になったときには、「え、同じペルソナに1日中同じ物を紹介している? それは刺さらないわぁ」みたいな。
福田:なるほどね。ペルソナ(*1)の多様性みたいなものを、広告を出す側はもっと勉強しないといけない時代になっていくということですね。
緒方:はい。そうやって生活に紐付いたコンテンツが出てくるようになれば、それにはどういうコンテンツがいいのか、と中身の話になりますね。ランニングをしている人に対して、ランニングシューズの情報だけが必要だというわけないじゃないですか。ランニングをしている時というのは、学びたかったり、頭を使いたかったりしますよね。でもそういうペルソナの多様性は、今はまだ世の中に確定されていない。
*1…マーケティング用語で、「商品・サービスを買ってくれる、架空の典型的ユーザー像」のこと。