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ロシアの映画祭で感じた“思い込み”

ゴリさんと映画談義!沖縄と死生観。ITで解決できる映画業界の未来(前編)   Talked.jp

福田:意外な共通点で、思わず盛り上がってしまいましたが、今日の本題は映画の話です(笑)僕は『洗骨』を観て、本当に震えたんです。

照屋:わぁ……。うれしいです。ありがとうございます。

福田:沖縄でも、興行収入が長期間№1だったと聞きました。この作品は、ワールドワイドにも観られるべき映画ですよね。僕はアーティストの友人から、「この映画、観たら絶対シビれるよ」って薦められたんです。で、本当にシビれました。それから、人に会う度に「これ観て」「これ観て」と薦めまくって。

照屋:ああ、うれしいです。「ワールドワイド」と言ってくださったんですが、 今まさに戦争が起こっているロシアの、モスクワ映画祭にも呼んでいただいたんですよね。僕の中でロシア人って、格闘家のエメリヤーエンコ・ヒョードルみたいな印象が強かったんです。目の奥の光が強いというか、何を考えているのか分からないような、「怖い!」というイメージが勝手にあった。でも実際はそんなことなくて、映画関係者の方々もすごくユーモアがあって、親切にしていただきました。

福田:モスクワ、いつ頃に行かれたんですか?

照屋:5年くらい前です。で、その時に『洗骨』の上映を後ろから見ていたんですけども、ロシア人の男性も若い女性も、おじいちゃんもおばあちゃんも、同じところで肩を浮かせて笑うし、同じところで泣くんですよね。上映後に質疑応答の時間もあって、「私が住むロシアの地方には、昔は洗骨と似たような風習がありました」という方がおられました。同じように、亡き人の骨をきれいに洗ってあげるそうです。「遠く離れた日本、しかも沖縄のことなんて今まで全然知らなかったけど、やっぱり人間には似たところがあるんですね」という話をした時に、肌の色や目の色、言語など、勝手に「自分とは違う」と決めつけていたことに気付かされました。
この映画のおかげで、世界のあちこちの映画祭に行かせてもらって反応を見ると、「勝手に国境を作っていたのは、自分なのかも」と気付くと同時に、この映画が「みんな1つの“地球人”なんだな」と思わせてくれたんだ、とも感じましたね。だから僕にとっては、世界の広さを知ることができた、まさに「ワールドワイドな体験」をさせてもらった作品です。

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