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映画監督志望だった父親

ゴリさんと映画談義!沖縄と死生観。ITで解決できる映画業界の未来(前編)   Talked.jp

福田:韓国映画の『パラサイト 半地下の家族』(2019年)がアカデミー賞を取った時に、アカデミー賞を受賞した韓国のポン・ジュノ監督が、凱旋記者会見で「私が若かりし頃、映画を勉強していたときに深く心に刻まれた言葉がありました。それは“最も個人的なことが最もクリエイティブなことだ”です。これは、私たちの偉大なマーティン・スコセッシの言葉です」というスピーチをしました。
『洗骨』も、ローカルな風習というふうに捉えがちですが、実際は誰もが、自分の問題として考えるテーマですよね。僕も昨年、父が亡くなりまして、身近な人の死を通じて、いろんな人間の「在り方」がやっと分かった気がします。20代、30代では分からなかった。 「死」に関する本の話ばかりする友達がいるんですよ。科学者で、若くて、天才的で、会うと毎回、「死についてのこの本は読んだほうがいいよ」と勧めてくれます。その中に寄藤文平さんの『死にカタログ』(だいわ文庫)という本があるんです。
各国の宗教観に基づく死を、全部イラストにした本で、これがすごく面白くて。チベットだったら鳥葬で、鳥に食べさせて輪廻転生する……みたいなこと。その中で僕がいいなと思ったのは、フィリピンの宗教の死生観です。「人は死んだら、隣の島で生きていく」っていう。すごく、気楽ですよね。「最近あいつ見かけないと思ったら、隣の島で暮らしてるんだなぁ」という宗教観なんですけど。

照屋:いいな~、それ(笑)

福田:でしょう? 絶版になってしまった単行本は(*現在は文庫版のみ)、僕たくさん持っているので、今度プレゼントします。

照屋:ありがとうございます! 僕も死生観とか……。死については、いつも考えるタイプなんですよ。

福田:わかります。そうじゃなければ、『洗骨』という映画にならないですよね。ゴリさんは、お父様が映画監督志望だった、というのも、過去のインタビュー記事で拝見しました。

照屋:そうです。助監督だった時もあったらしいんですが、「自分には才能がない」と言ってやめて……。そしたら、「まさか息子が映画を撮るようになるとは思わなかった」と、喜んでくれました。
『洗骨』もすごく感動してくれました。僕の母親が亡くなったことの影響が強くて、それで書けた脚本でもあるんですよね。映画を観終わったあと、帰りの車の中で親父がポツリと、「お父さんも亡くなったら、洗骨してもらいたいな」って言ったんです。そしたら運転していた兄がすかさず、「お父さん、面倒くさいから燃やす」って。

福田:(笑)

照屋:で、うちの親父は火葬に決まりました。その時点で(笑)

福田:ははは。でも、あれはすごい習慣ですよね、考えてみたら。愛がありますよね。

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