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「ほら吹き」と言われると、やる気が湧いてくる

丸の内の週末を激変させた仕掛け人 都市活性化の名人に聞く、スマートシティ考(前編)   Talked.jp

福田:ちょっと話が変わるのですけど、「お金ってどうやってできる?」っていうと、人の欲望がないとお金は造られないんですよね。

水代:なるほど。面白いですね。

福田:世界でも昔は造幣局が(お金を)つくっていたんですけども、ユーロはもう15%もつくってはいなくて、あとはナンバー(数字)だけなんです。で、どういうふうにお金をつくるかというと、「僕、車が欲しいんです」と言うと、「あんた多少は信用あるから100万円貸しましょうか」と銀行がいったときに、「はい、1,000,000円ね」とデータ上の数字を送信するだけ。だから実は全く、国はお金をつくらなくなって「プライベートバンクが(お金の)8割以上をつくっている」というデータがあります。日本は貯蓄性向が高いからそこまでではないですが、それでも貨幣、通貨をつくるということが劇的に減っちゃっている。ここから発想が飛ぶかもしれませんけども、人類が進化して、いろいろな欲望を満たしていこうと思うと……。「あれが欲しい」とか「これが欠けているから誰かとつながりたい」という欲が増大していかないと、コミュニティって生まれないですよね。
沖縄では模合(もあい)という相互金銭扶助の風習が昔からあって。定期的に複数の個人が集まって一定額の金銭を出し、それを1人ずつ順番に受け取っていくシステムのことですが、これがものすごくコミュニティづくりの促進剤になる。けれど一方で都市の人は、どうして80年代、90年代、2000年になっても、コミュニティをあまり活性化させようと思わなかったのかなと不思議に感じまして。それで、今回の新刊を書こうと思い至ったわけなんです。

水代:なるほどですね。(コミュニティづくりは)やっぱり、面倒くさいっていうイメージが相当ありますよね。特に伝統あるコミュニティであればあるほど、そこの編集が必要だなと思うところがあります。東京の他の街のコミュニティでも、例えばある地域で「今年は祭りができないから、一回いろいろ点検しないといけないよね」「じゃあこの日にやろう」となったときに、「午前中だったら手伝えますよ」と言うと重鎮の人が出てきて「そんなのは手伝いとは言わない」とか「遊びに来ているだけだろう」と言われてしまうようなイメージ。実際にそういう街もあると思うんですけど。ここ日本橋浜町の場合は、「10分来てくれたら助かるよ」「安全確認も分かってよかった」「今日は◯◯の店のあいつも、ちょっと手伝ってくれたよね」という助け合い文化があって、僕はそういうところにめちゃめちゃ助けられています。

福田:水代さんは謙虚だから「みんなで」とおっしゃるけど、それを仕掛けているのは、やっぱりご自身ですよね。

水代:ありがとうございます。「心に火をつける」といいますか、仕掛けるのだけれども、一緒に関わって、そう言ってくれる人を探すような感じだと思います。

福田:そこで生まれるのは、きっと絶大な信頼ですよね。

水代:でも「本当は、ここまでやろうと思っています」っていうことをお話すると、「えっそうなの? そこまで?」と、かなり驚かれるものだなと(笑) でも、それで「ほら吹き」とか言われると、ふつふつとやる気が湧いてくるんですよ。むしろ「ほら吹きだな」って、言ってもらうことを求めているところも、あるかもしれません。

福田:ちょっとメディアの話になるんですけども。Netflixを始めとする現代の配信時代が到来する以前は、地上波って、圧倒的に強いメディアでした。日本では今でも、まぁ強いわけなんですけど1980年代後半から細川護熙首相のときに、大量に免許交付して300ぐらいの都市型ケーブルテレビができたんです。都市型ケーブルというのは市の単位で小さいので、コミュニティーチャンネルでは自由でめちゃくちゃ面白いものをつくっている局があるんですよね。例えば長野県のLCVというチャンネルでは、御柱祭(おんばしらさい)といって7年目に一度、寅と申の年に行われる奇祭の生中継を行っています。数千人で力を合わせて大木を運ぶようなお祭りで、みんな見に行くんですけども、テレビのほうが間近で見れるじゃないですか。だから何時間もあるその生中継を、98パーセントの視聴率でみんなが見ているんです。

水代:すごいですね!

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