コロナ禍がもたらした「コミュニティ」意識
福田:インターネットができて、世界中のことを知ることができるようになって、CNNでイラン・イラク戦争も日本にいながらにして見れるようになったんですけども、実際はそういうローカルのことって、知りたくても全然分かんないままなんですよね。でもコロナになってステイホームして、普段、公園なんか行かないような人が、家にずっといるのは息苦しいから日比谷公園に人が殺到した。かつてないぐらい、日比谷公園に人がいたわけです。
水代:そうですね。
福田:だから、実はコロナのおかげで…というと語弊があるかもしれませんが、水代さんがやっておられるような身近なコミュニティの活性化というのは、ある意味進むんじゃないかなと思うのですけど、どうでしょうか。
水代:そうですね。今はまだ、集まろうといっても集まり切れない部分がありますが、そこに対する人々の欲求は消え去ってはいなくて、逆にどんどん高まっているなっていうふうに思うので、準備はずっとしているんですよね。例えばメルマガみたいなものをもう少し広げて、防災機能が付いたLINEでみんなに届けていこう、という取り組みも行っていて、多くの反響もいただいています。またみんなが本当に制約なく集まれるようになったときはどうなるかな、というところはあるんですけども、コミュニティ自体はみんな意識が高まってきていて。
意識が高まっているということは、他のデベロッパーさんなども含めて、(コミュニティづくりは)予算も下りやすいジャンルになってきているようにも感じますね。やっぱりここからはそのコミュニティが、簡単にいうと「イケてる」ことが重要というか。何をしていて、それが社会に対して何をもたらしているのか。また、どことつながっているコミュニティなのか、とか。コミュニティの前に、「○○ができる」「○○がイケてる」という形容詞がつくようなコミュニティをつくっていかないといけないなと感じています。
福田さんが精通しておられるシリコンバレーなどは、あれだけ街がエキサイティングになっていったのって、いきなり「おまえのアイデアがいいから出資するよ」とかっていう話が、日常的に起き続けてきたからじゃないですか。なので、やっぱりここからのコミュニティというのは、小さくていいと思うんです。例えば僕らがやっているマルシェで一緒にお店に出す、とか。お客さんが少ししか来なくて最初は恥ずかしいとか、勇気がいるかもしれないけれど、そのメンバーでプロダクトをつくってみるとか、何でもいいと思うんですよね。会社をつくる、NPOをつくる、産業をつくっていく。そういうコミュニティも、僕はつくりたいなと思っています。小さくても何かプロジェクトをつくっているコミュニティって、自分もそこ入りたくなるような可能性があるなと感じているんですよね。
(後編へ)