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「店舗1階」の売上げが高い街=地域価値が高い

丸の内の週末を激変させた仕掛け人 都市活性化の名人に聞く、スマートシティ考(後編)  Talked.jp

福田:話をちょっと先に進めますと。「Woven City」はじめ、スマートシティは、「スマート」と付くからにはAIが制御する街を指しますよね。中国なんかだとテンセントが信号で車をコントロールするとか。便利なようでいて、なんかちょっとよく分かんないからみんな恐怖もあるんでしょうけど。そういう街のハイテク化に対しては、AIが一般化していないからだけなんですけども、ローテクで闘っているように見えるじゃないですか。そういうスマートシティに対しては、水代さんはどういうふうに思われますか。今の街づくりのやり方では、どういう関わり方ができるのでしょう。

水代:多分、たくさんあるなと思います。「まちづくり×スマートシティー(AI)」というジャンルについては、行政や企業から予算が回ってきている状況ではあるかな、と思うので。

福田:不思議に思うのは、トヨタが静岡県富士宮市に「全くのゼロのところから、Woven Cityをつくるぞ」というのは、映画バグジーの主人公のように「ラスベガスをつくるぞ」っていう感じで、それはそれで勇ましい投資と地域活性化があると思うんですけども。でも僕は、地方のスマートシティ化よりも、港区のスマートシティ化、ストリート系新都市化のほうを優先すべきじゃないのかなと思うんです。僕の大先輩、株式会社デジタルメディア研究所所長の 橘川幸夫さんが自著『暇つぶしの時代』の中で「オートモービルの発展が商店街を潰した」と書かれていたのですけども。

水代:あぁ、あの本は本当に、名著ですよね。

福田:ええ。その橘川さんのご著書に「オートモービル化による産業革命において、人間は A地点からB地点まで、簡単に行けるようになった。しかしその便利によって、僕たちは途中の風景を失った」 と書かれていたのが印象的でした。そして、地下鉄文化があったおかげで、東京は商店街が生き残ることができた。それはある意味ではニューヨークも、高速道路をつくって街を横断させる計画を60年代に阻止したことで、いまもブルックリンとのコミュニティがあるわけなんですけども。で、このいまのタワマンブームを早く、いい意味で方向転換させなければ、ビルの中だけのショッピングモールになってコミュニティもなくなってしまう。ただ「買う、買わない」というアセットバリュー(資産価値)だけを追い求めると、コミュニティバリュー(参加価値)が置き去りにされて、いつか行き詰まってしまうと思うんですよ。丸の内以外にも、例として港区なんですけども、そこの改善の余地はあるでしょうか。

水代:多分これから、めちゃくちゃあると僕は思うんですよね。それによって、リアルに地域の価値を上げていくっていうところで。ただ、結構そこがみんなの悩みどころというか、やっぱり経済の力が強過ぎて、街づくりがうまくいくことと景気がよくなることで、家賃と街の価値、どっちが上がるか。街づくりが滑ってしまうと、賃料だけが高くなったりするんですよね。

福田:そうですよね。

水代:でも、「そういう計り方だけじゃないな」っていうときに、僕らが周りに言っているのは、「1階のお店の売り上げが去年より高い街は、地域価値が高い。だから家賃とかは全部無視して、1階のお店の売り上げをみんなで見よう」っていうことは力を入れてやっています。

福田:面白い。

水代:それは=「絶対イケてる街のはずだ」っていうことですね。

福田:さっきの中期的、長期的なレンジでいうと、タテ系統の企業もコミュニティーバリューが上がったほうが、より地価だって上がるし、相互関係があるわけですよね。でも相互関係になかなか短年度主義だと気が付かないじゃないですか。

水代:そう、とくに四半期とかいわれたら、もう無理なんですよ、僕ら。

福田:無理ですよね(笑)。僕は前職の会社を経営しているときですけれど、3カ年計画っていうのを常に拒否していました。明日のことも分からないのに、3カ年なんて立てる意味がないし、そもそも「いま」が3年前に予測した「いま」なのかどうかって、誰も検証しないんです。だから会社ゲームですよね。一方で、毎日、商店街で生きている方々には日銭の問題があって、むしろそちらの方たちのほうが長期的な視点を持ってのぞまないと、特にコロナみたいなことが起きてしまうと成り立たなくなってしまいますからね。
だからそういった「ビルの中だけの消費」からいったん外れて、その周辺部分と手を組んでいくような転換ができないものかな、と。同じ民間同士なんでしょうけども、大手デベロッパーと小さな商店街の共存を大手の側が考えてくれないと、やっぱり生き残りが難しくなる。そのインターフェースに、いまは水代さんがなっている。

水代:そうですね。そこはいま、ものすごく大事な課題なので、ここの日本橋浜町もめちゃめちゃ視察の機会をいただいてます。再開発は再開発でいいんだけれども、そこからどういう文化・風習を残しつつ、1階だけでいいからそこをどれだけ変えられるか。1階には道路も公園ももちろんあるので、そこに対してどういう規制をかけて、どういう枠組みをつくれば、みんながもうちょっとお祭りをしやすくなるのかなど、その辺は視察、いますごくいただいてはいます。

福田:ということは、日本全体が変わろうという機運はあるわけですね。今の都市計画に対して。

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