福田 淳の最新本『ストリート系都市2022』発売記念! PIVOT代表 佐々木紀彦が特別インタビュー(後編)

福田 淳の最新本
『ストリート系都市2022』発売記念!
PIVOT代表 佐々木紀彦が特別インタビュー
(後編)

編集・構成:井尾淳子
撮影:越間 有紀子
日程:2022年8月17日

佐々木 紀彦(写真/左)

PIVOT 代表取締役社長。1979年福岡県生まれ。
慶応義塾大学総合政策学部卒業後、東洋経済新報社に入社し、自動車やIT業界を担当。入社5年目に2年間休職し、スタンフォード大学大学院で修士号を取得。帰国後は『週刊東洋経済』編集部に所属。『30歳の逆襲』『非ネイティブの英語術』『世界VS中国』、『ストーリーで戦略を作ろう』『グローバルエリートを育成せよ』などの特集を担当。2012年11月『東洋経済オンライン』編集長に就任後、リニューアルから4カ月で5301万ページビューを記録し、同サイトをビジネス系サイトNo.1に導いた。
2014年7月株式会社ユーザベース「NewsPicks」編集長 執行役員に就任。2015年4月株式会社ニューズピックス 取締役に就任。動画プロデュースを手がけるNewsPicks Studiosの初代CEOも務める。2022年3月には新たに立ち上げたPIVOTにて、経済コンテンツメディア「PIVOT」を運営開始。ミッションは「日本をPIVOTする」。ビジネスを楽しく学べる200シリーズ超の映像・活字コンテンツを無料配信。
PIVOTアプリ→https://bit.ly/3s4LTxp
YouTube→https://bit.ly/3MR635L

福田 淳(写真/右)

連続起業家
1965年、大阪生まれ。日本大学芸術学部卒業。
ソニー・デジタルエンタテインメント創業者
横浜美術大学 客員教授、金沢工業大学大学院 客員教授。
女優”のん”などタレントエージェント、ロサンゼルスを拠点としたアートギャラリー運営、バケーションレンタル事業、沖縄でリゾートホテル運営、大規模ファーム展開、エストニア発のデジタルコンテンツ開発、スタートアップ投資など活動は多岐にわたる。 自社の所属アーティストとは、日本の芸能界にはなかった「米国型エージェント契約」を導入したことでも話題を呼んだ。
1998年、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント社 バイス・プレジデントとして、衛星放送「アニマックス」「AXN」 などの立ち上げに関わる。
カルティエ「チェンジメーカー・オブ・ザ・イヤー」受賞 (2016年)
ワーナー・ブラザース「BEST MARKETER OF THE YEAR」3年連続受賞 (2012-14年)
日経ウェブ「21世紀をよむITキーパーソン51人の1人」選出 (2001年)
文化庁 「コンテンツ調査会」委員
経済産業省 「情報大航海時代考える研究会」委員
総務省 「メディア・ソフト研究会」委員
著書
『ストリート系都市2022』(高陵社書店)
『スイスイ生きるコロナ時代』(髙陵社書店) 共著 坂井直樹氏
『パラダイムシフトできてる?』(スピーディ出版)
『SNSで儲かるなんて思ってないですよね?』(小学館)
『これでいいのだ14歳。』(講談社)
『町の声はウソ』(サテマガ)

(株)スピーディ 代表取締役社長
Speedy Gallery Inc. (CA, U.S.) - President
Speedy Euro OU - President

NPO「アシャンテママ」 代表理事
NPO「ファザリング・ジャパン」監事

公式サイト:
http://AtsushiFukuda.com
YouTube対談動画
https://www.youtube.com/channel/UC3oCfveGQgT2Lpx27O9NDIw

3カ年計画にリアリティはない

佐々木:そういう意味でも、本の中で、「これからはストリート系スタートアップの時代」と書かれていたのが、私はすごく気になっています。それはどういうものなのか、私もそれを目指さなければと改めて思ったんですけど。今までのスタートアップと、ストリート系スタートアップの違い。これってすごくヒントになるなと思ったんです。

福田:その切り口のご質問、新鮮ですね! いや、考えてもみなかったです。そうかもしれませんね。

佐々木:今日はそれもぜひ伺いたいと思ったんですよ。タワマンや高層ビルにいて、そこでずっとパソコンをカチカチしている……みたいなことは、ストリート系とは対極じゃないですか。

福田:そうですよね。なんか今、「PowerPointスタートアップ」みたいな知り合いが、いっぱい頭に浮かんじゃって……。「このパワポで1億か2億とってきて、スタートアップできたんだ」とか言って、「じゃあそのパワポのフォーマット、ちょっと見せてよ」と言ったら、いつも冗談を言っているようなやつがすごい真顔で「やだよ!」と(笑) 言ってみればただのパワポですよ。でも結果から言うと、ほぼ成功してないですよね。

一方で私の経営している会社は、そこそこうまくいっていますが、年間予算って作成してないです。長く社長業やってるので、数字は大好きで日々のお金の動きは毎日見てますが、予算化の必要がないんです。1年先の計画みたいなことの実効性に、すごい疑問を持っているんです。今日新しい話を聞いたときに、「それやろうよ!」と言える状態に置いておくためには、事業計画って「反ストリート系」じゃないですか。

佐々木:ああ。上場とかしたら、もう計画をみっちり作らないといけませんよね。

福田:そうそう。だけどコロナによって、「そんなのは無意味だ」ということが上場企業も分かったわけですよね。先日レオス・キャピタルワークスの藤野英人さんとお会いしたとき、素晴らしく分かりやすいことをおっしゃっていました。「どうやって先を読むのか」って聞いたんです。そしたら、「福田さん、それはゴルフと一緒です。ドライバーは10年先。それはわりと予想がつくでしょう。OBもあるけどそんなに外れない。で、パターは今期の予想なんですよ。だけど、ちょっとアイアン使ってアプローチしようみたいなのは、3ヵ年計画です。これはむちゃくちゃ外れる」と。ゴルフをやる人にはめっちゃ分かりやすい。会社勤めだった頃も、上司から「3カ年計画を立てろ」と言われたとき、僕は「嫌です。なぜなら今日が3年前から見たときの今日なのか、誰も検証していない。無意味じゃないですか」とか言って(笑) だって検証したら、三ヶ年計画なんてなんの意味もないことを証明できるんですよ。だからソニーデジタルの時代から三ヶ年計画なんかててないです。だけど、まあ、ずっとうまくいっています。それは自分の「ストリート体験」を経営に取り入れるやり方が功を奏していると思います。

佐々木:そういう意味では、余白があるというか、曖昧さを大切にするというか、自由なんですね。

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