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出版の課題は「書店の活性化」

福田 淳の最新本『ストリート系都市2022』発売記念! PIVOT代表 佐々木紀彦が特別インタビュー(後編)   Talked.jp

佐々木:福田さんが手掛ける出版社の書籍シリーズは、電子書籍で売れる割合のほうが高いんですか?

福田:トラッキングした結果、まだ25%ぐらいです。リアル(紙の)本のうちの半分がAmazonで売れるんですよ。ということは、販売総数の3~4割のために、全国書店にディストリビューションをしているんだなって。なのでもっと売るために、自分の本で実験できるなと思って、規模として上位100の書店の棚を全部、有料で買っています。そしたら出版関係の人が「え?」と。「そんなの、無駄足じゃないですか」って言うから、「いやでもそうしない限り、売れ筋の有名な著者の本しか置かれないから、やる必要があるんですよ」と。書店や置く冊数にもよりますけど、平均では2週間で5万円ぐらいからですね。

佐々木:意外に安いですね。

福田:上位100書店で実施したら、500万じゃないですか。僕の感覚から言ったら、たいしたお金じゃないと思うんですけど、出版関係の人は「え、そんなにお金を出して?」っておっしゃるんですよね。「いやだって、大手出版社ってずっとFM番組を提供してたし、六本木プリンスがあるところの道に、昔は週刊プレイボーイの広告、何十年もありましたよ。あれを維持するのは大変じゃないですか」と。その広告を見て週刊プレイボーイ買う消費行動もあまりないと思う。それだったら、もっと本屋を活性化することに対して、お金出したほうがいいと思うんですよね。 日暮里に「パン屋の本屋」っていう、ベーカリーカフェと書店が併設したお店があって。

佐々木:あ、たしかありますね。聞いたことがあります。

福田:ブックディレクターの幅 允孝さんがネーミングや選書で協力しておられて。なぜパンと本の組合せなのかというと、「本を読む人って高齢者の方が多いし、60代以上の人たちは給食、パンだったんです」って。さらに「パンって、すごい美味しいパンが銀座の三越にあると聞いても、毎日行かないでしょう? それよりも身近なパン屋で焼きたてが買えるほうがいいので、毎朝散歩がてらご近所の方がパンを買って、本を読めたらいいな、と」っていうお話を聞いて、美しいビジネスモデルだなと思いました。

佐々木:いい話ですね。

福田:すごくいい話しだと思いました。

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