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ストリート性を鍛えるスタートアップ

福田 淳の最新本『ストリート系都市2022』発売記念! PIVOT代表 佐々木紀彦が特別インタビュー(後編)  Talked.jp

佐々木:福田さんがストリート系というとき、ヤンキーとはまた違うんでしょうか(笑)?

福田:ヤンキーと近いです。

佐々木:近いんですか?(笑)

福田:例えば、半グレ系の人で仲間の誰かが塀の中に入ったりしますよね。で、出てくると、「いまはこれが流行っているから、ガールズバーを経営してみろ」とか言って(笑) 仲間の中で次から次へと新しい機会が与えられるので、グループ全体でうまく回っているんじゃないかなと思います。学生時代、成績が悪くても、喧嘩が強いやつが同窓会で会ったらちゃんとした経営者になっている例があるじゃないですか。それはストリートを知っているからなんですよね。 ずいぶん前に、テレビ東京の番組で泉麻人さんが、吉祥寺のストリートでアクセサリーなどの物を売っている人たちを取材して回る番組があったんです。で、その中に卵を立てて売っている青年がいたんですよね。卵にデザインをしているとかでもなく、ただ生卵なんです(笑) 奇妙でわけ分からないし、何を目指しているのかも理屈がつかない。で、その番組はさらに5年後に、その場にいた人を追えるだけ再調査したんです。そうしたら、みんな何らかの形で、うまくいっていたんです。面白いですよね。

佐々木:分かります。ストリートで商売をするという経験がある人がどんどん減って、今や全体の9割以上がサラリーマンというのが日本じゃないですか。そういう「オフィスビルでサラリーマンが真面目に働く」みたいな時代が、本当いよいよ終わる。そういうことなんでしょうか?

福田:そういうことでしょうね。僕らの時代はネットがなかったから、いい大学に入っていい企業にはいる、という導線しか選択肢がなかったんですよね。僕が通っていた中学・高校は、大阪医科薬科大学の附属だったので、「医者になるコース」に乗らなきゃいけなかったんですけど、僕はそういうのに関心がなかったので日芸に行ったんです。でも先生が日芸を受けるということ自体、内申書にハンコをくれなくて。『サンデー毎日』の高校ランキングが下がるから絶対ダメ!と。医者にならないのであれば、「一浪しても二浪しても京大、阪大行って、三菱商事を目指してくれ、以上」と。

佐々木:三菱商事目指してくれと(笑)。

福田:でもこの令和の時代は学歴関係なく、大学生時代に起業して成功している人、いっぱいいますよね。そういう多様性が認められているのは、ストリートの価値が増大しているからじゃないかなと思います。

佐々木:街としてストリートっぽいところは昔より少なくなっていますけども、例えば起業をするとか、スタートアップで働くというようなことで、つまり「仕事を通じて、自分の中にストリート性を養う」という機会は、かつてよりも意外と増えている、ということですね?

福田:ええ、まさにそういうことなんです。

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