カルト宗教のゴールは「神の王国」
福田:エホバの証人は、発祥はどこなんですか?
佐藤:ペンシルベニア州。アメリカです。だからアーミッシュとかクエーカーとかアドバンテストとか……。ブランチ・ダビディアン(セブンスデー・アドベンチストの分派の「ダビデ派セブンスデー・アドベンチスト教会」から分裂・分派したプロテスタント系のセクト)とかあったじゃないですか? あれも全部長老派に行きつくんですけど、全部ペンシルベニアとか東から来たんですよ。
福田:エホバの証人は政治的な勢力になっている? それとも政治は関心ない?
佐藤:政治には関わらないと言ってますね。なぜかというと、「悪魔の政府」だから。どの政府でも「全てサタンの機関だから、クリスチャンは関わってはならない」という理由から、選挙も駄目です。
福田:じゃあゴールはなんだろう?
佐藤:ゴールは「神の王国」です。人間の政府ではなくて、神の王国を実現すること。 彼らは聖書を文字通りに解釈するので、あるとき神様が来て、ハルマゲドンで世を滅ぼして、地球上に楽園を作って永遠に住むという、一見すると突拍子もないんだけど実は多くのプロテスタント的な原理主義、アメリカ的概念を信じているんですよ。だからアメリカって、陰謀論が流行るじゃないですか。日本人からすると、「えーっ?」となりがちな話でも、陰謀論の下地がある。要は、地球は全てサタンのものであると。なので神の民は、そこから逃れなければいけない。だまされないように、守らないといけないという概念が根底にあるから、陰謀論って結構馴染むといいますか。
福田:信者だね。だから「ワクチン打たない派」の人の割合が、政治的に問題化することがめっちゃ多いじゃない。日本人には理解できないよね。
佐藤:そう。陰謀論をずっと辿っていくと、フリーメイソンからイルミナティ(イエズス会の修道士だったインゴルシュタット大学教授のアダム・ヴァイスハウプトが創設した秘密結社)という言葉が出てきて、そのうちサタン崇拝までいっちゃうので。要は「地球をサタンが支配してるんだよ。クリスチャン、気を付けな」っていう、その概念が擦り込まれている。
福田:神様がそれを開放する日までが、えらい長いわけだよね? それを地道に待っているということ?
佐藤:これは16世紀~18世紀くらいからずっと、宗教改革が「今くる、今くる」って言い続けています。
福田:これ、でも来ないね。ダチョウ倶楽部になっちゃってるね(笑)。
佐藤:だから、いわゆるカルトの宗教の論争は何かと言ったら、「誰が最新のメッセンジャーであるか」がテーマなんですよ。
福田:じゃあ今も、そういうトリックスターみたいな人はいるわけ?
佐藤:そこはちょっと巧妙で、1人の教祖になるとカルトだと言う考えから、そうではないための委員会を作っています、と。
福田:合議制で?
佐藤:そうです。だからちょっと日本っぽくて、責任不在なんですよ。
福田:じゃあ、目立った人が出ないことで長生きしているとも言えるね。
佐藤:そうですね。