自閉症の息子と、アートの道へ
福田:で、最後になりますけども、ノリちゃんのこれからの展望は?
佐藤:福祉を始めて、だいぶインフラが整ってきたので、ちょっと違うことをしようかなと思っています。うちの息子のがっちゃんが16歳の時、岡本太郎美術館で作品を観たあと、いきなり跳ねたんですよ。急に絵を描き始めて。
福田:がっちゃんがね。急にアートに目覚めた。
佐藤:そうなんですよ。で、今年(2022年)は代官山蔦屋書店で画集刊行記念フェアのイベントを行いました。今では年間200枚以上の作品を描き続けていて、ニューヨークでの展示会もおかげさまで成功しまして。DNPのカフェでもやって、そのあと渋谷PARCOと。今年の春にはBodyshopからコラボ商品が、レスポートサックからはバッグのラインナップがグローバル展開されました。
福田:行動力あるよね、ノリちゃんは。素晴らしいよ。
佐藤:ありがとうございます。いままではマーケティングの観点から息子のマーケティングをやってきたんですけど、来年はいよいよ、アート業界のほうに本格的に攻めにいこうと思って、いろいろ準備をしています。
福田:おっ!!
佐藤:でもこれも……最初の話じゃないですけど、僕はいつもアマチュアじゃないですか。何も、知らないじゃないですか。アート業界は何も分かってない状態。
福田:ノリちゃんは、それがいいんだと思うよ。
佐藤:そう、なので先入観なく、ちょっと違った戦略でやろうかなと思って、いま動いています。
福田:素晴らしいね。でも、生きる理由…という言葉がいいのかわからないけれど、ノリちゃんが息子のがっちゃんから貰っているもの、めちゃくちゃ多いね。
佐藤:多いです! 宗教を抜けたのも、そもそもがっちゃんのおかげでもあるから。だから彼を起点にして開けたドアの数って、僕にとってはものすごく多いんです。いまの福祉を立ち上げたのも、息子がきっかけだし。
福田:そうだよね。息子さんの年齢が上がっていくたびに対応できる教育施設しか作らないって最初から言ってたよね。はっきりしていて素晴らしい。
佐藤: TGCとかをやっているときは、「ノリちゃん、すごい!」だったんです。「ノリちゃん、すごいね、すごいね、すごいね!」だったんですけど、福祉をやるようになると、「すごいね」はないんですよ。ただ、それが保護者からの「ありがとう」に変わる。だから承認欲求のようなものは満たされちゃっていて。だから、そこが違うんだな、と思いました。
福田:丸くなったもんね(笑)
佐藤:なりました。かなり変わったと自分でも思います。
福田:そうそう。だから僕としては、攻撃的なノリちゃんでもあってほしいね(笑) 葬式で誰も来ないような人になってほしいよ(笑)
佐藤:アハハハ!!
福田:「あいつ死んだのか、へえ」っていう(笑)
佐藤:福田さんはせめて、Zoomで参加してくださいよ。
福田:いや、行く。もちろん行くよ(笑)っていうか、年上の自分の方が長生きの想定?冗談はさておき、今日は久しぶりに楽しかったです。また、やりましょう!
佐藤:ぜひ。またいつでも呼んでください!
(了)
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