「生きていて、なんぼ」「いのち」の視点から見る、メディア・政治経済・教育(前編)

「生きていて、なんぼ」「いのち」の視点から見る、メディア・政治経済・教育(前編)

編集・構成:井尾淳子
撮影:越間 有紀子
日程:2023年3月23日

野中 ともよ(写真/右)

NPO法人ガイア・イニシアティブ代表、ローマクラブ正会員、中部大学客員教授。 1979年より日本放送協会(NHK)にて『海外ウィークリー』『サンデースポーツスペシャル』等、テレビ東京『ワールドビジネス・サテライト』の番組メインキャスターを務めるなど国際社会の動向を前線から伝えるジャーナリストとして活躍。1988年ソウルオリンピック(開・閉会式中継含む)現地メインキャスター、1999年NHK衛生第2放送『米国アカデミー賞授賞式』L.A.現地メインキャスター。アサヒビール、ニッポン放送、日本ユニシス、日興フィナンシャル・インテリジェンスなどの企業役員を歴任後、三洋電機会長を務め、“いのち"を軸にした環境負荷の低い商品こそがグローバルマーケットを制するカギであるとする “Think Gaia” ブランドを立ち上げるなど卓越した経営手腕を示した。2007年にNPO法人ガイア・イニシアティブを立ち上げ、人間も地球という生命体“GAIA”の一員として振る舞うべきことを説く。財政制度審議会、法制審議会、中央教育審議会、沖縄振興審議会委員、内閣構造改革特別区域推進本部教育評価委員長など政府審議会委員を歴任。2001年経済界大賞「フラワー賞」、2018年度日本学士会アカデミア賞社会部門を受賞。著書に『私たち「地球人」』(集英社)、『心をつなぐ生き方』(サンマーク出版)『手ごたえのある女 (ワタシ) の人生が始まる本』などがある。

福田 淳(写真/左)

連続起業家
1965年、大阪生まれ。日本大学芸術学部卒業。
ソニー・デジタルエンタテインメント創業者
横浜美術大学 客員教授、金沢工業大学大学院 客員教授。
女優”のん”などタレントエージェント、ロサンゼルスを拠点としたアートギャラリー運営、バケーションレンタル事業、沖縄でリゾートホテル運営、大規模ファーム展開、エストニア発のデジタルコンテンツ開発、スタートアップ投資など活動は多岐にわたる。 自社の所属アーティストとは、日本の芸能界にはなかった「米国型エージェント契約」を導入したことでも話題を呼んだ。
1998年、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント社 バイス・プレジデントとして、衛星放送「アニマックス」「AXN」 などの立ち上げに関わる。
カルティエ「チェンジメーカー・オブ・ザ・イヤー」受賞 (2016年)
ワーナー・ブラザース「BEST MARKETER OF THE YEAR」3年連続受賞 (2012-14年)
日経ウェブ「21世紀をよむITキーパーソン51人の1人」選出 (2001年)
文化庁 「コンテンツ調査会」委員
経済産業省 「情報大航海時代考える研究会」委員
総務省 「メディア・ソフト研究会」委員

著書
『ストリート系都市2022』(高陵社書店)
『スイスイ生きるコロナ時代』(髙陵社書店) 共著 坂井直樹氏
『パラダイムシフトできてる?』(スピーディ出版)
『SNSで儲かるなんて思ってないですよね?』(小学館)
『これでいいのだ14歳。』(講談社)
『町の声はウソ』(サテマガ)
(株)スピーディ 代表取締役社長
Speedy Gallery Inc. (CA, U.S.) - President
Speedy Euro OU - President

NPO「アシャンテママ」 代表理事
NPO「ファザリング・ジャパン」監事
公式サイト:
http://AtsushiFukuda.com
YouTube対談動画
https://m.youtube.com/@talkedjp

YouTuberにならない理由

福田:今回お招きさせていただいたのは、政治経済ジャーナリストの大先輩であられる野中ともよさんです。本日はよろしくお願いいたします。

野中:ジャーナリスト=そのひぐらし、ならば(笑)。こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします。かねてから、この福田さんの「トークド」については素晴らしいアーカイブだなと思って拝見しておりました。

福田:光栄です。ありがとうございます。このコンテンツは2008年から、もともとはテキストのみで公開していたんですよ。基本はテキストで、この1年ほどはYou Tubeで、映像版も作っています。そのせいなのか、各方面から、「福田さん、YouTuberになったほうがいいですよ!」とお声かけをいただくんですけども…。魅力を感じなかったです。

野中:わかります。動画の時代ではありますが、人類的にはやっぱり…。

福田:「読む」ですよね。

野中:ええ、「読む」。人類を変えたグーテンベルグ*1)のbefore and after的なところからでも、文字というのはやはり、人類を今につなげてくれているものなので。「デジタルの時代だし、活字はいずれ消えていく」というものではないと思いますね。

福田:芸能界でも、最近は芸能人を辞める方も多いですけど、たしかにYouTuberって、もっと気軽じゃないですか。気軽にやったら1億儲かりましたとか。でもそのうち企画が続かなくなって、ちょっとスキャンダルもあったから、もう辞めます…みたいな。すごく軽いんですよね。

野中:いい悪いではなく、注目を浴びる人生を経験してきた方には、べつに魅力はないと私も思います。ただ、「どうにか自分に注目を集めたい!」という方にとっては世界が開ける、というのが今の動画配信の世界ですよね。「YouTuberになる」ということ自体にインセンティブがあり、夢の実現にはなりますから。 私はたまたまNHKというところがキャリアスタートでしたけれども、仕事を通じて世界を飛び回っているメディア人たちにとっては、「今日はどこで、誰と、何を食べたんですか?」といつも追いかけられていた。でもそれは、自分が一番守りたいところじゃないですか? Facebookが出てきた時、どうして人は、何食べた、どこ行った..を事細かく知らせたがるのか?と。

福田:プライバシーを全部さらけ出しますからね。

野中:ええ。プライバシーを全部さらけ出すと、人間は必ず不幸になる。「大衆」とか「世間さま」とは、とても我儘な存在でしかないので。手に取れないし。人はプライバシーを閉じていくときの奥ゆかしさに、やっぱり意味を持つように思います。

*1)ドイツの活版印刷技術の発明者

TOPへ