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ライフシフト - 寿命100年の時代をどう生きるか Talked.jp

おまえがそこにいるから電話してくるだけの話

福田:安藤さんを尊敬するの、そこですよ。教えてあげようっていう気持ちをお持ちじゃないですか。僕、全然ないんですよ(笑)。昔、衝撃受けたのは、ファザーリングの総会の後、懇親会パーティーがあって、若い人たちが、「福田さんですよね。パパの在り方、パパのありようを教えてください」って声かけてきたんですね。「いや、僕は全部失敗しているんですよ。お子さんはこれから?」と聞いたら、「まだ結婚もしてないんです」って(笑)。結婚する前からパパになること勉強するなんて、「ええー、ちょっとおかしいんじゃないの」ってビックリしちゃって。「まず、ここはすぐ退会したほうがいいよ」って言ったんですけど。

安藤:真面目なんですよ。リスクヘッジしたいっていうかね。

福田:僕、ただただ驚いたんですけど。

安藤:僕もそこはあんまり教えてはいないんですよ。

福田:でも、そういう受け皿をつくろうとか、仕組み作ろうっていう気持ちはおありなんじゃないですか。

安藤:そうですね。育児でも仕事でも楽しんでやればいいと思うんだけど、なんか日本人ってそういう人が少なくて、みんな我慢しながらやってる感じ。そしてズルズル不幸になってしまう。あれが好きじゃない。嫌なんですよね。実家の父親みたいなパパになりたくない!っていうのがFJの原点ですけど、タイガーマスク基金の活動とも繋がっています。父親の生き方を変えたいんですよね。そうすれば崩壊する家庭は減ると思うから。いきなり100パーセントは無理でも、徐々にオセロの黒が白になって、最後ゲーム自体は勝つみたいな。そういうロジックでいろんな事業を組み合わせてやってきました。

福田:その結果、イクボスもえらい広がり見せちゃって。

安藤:企業や自治体のイクボス宣言も増えてますね。

福田:あれはやっぱり、日本人っぽいところを突いたやり方というかね。宣言しないと、ちょっと遅れているよっていう感じがうまいというか。

安藤:イクボス企業同盟も170社になりました。同盟に入るのは無料なんです。そこで他の先進的な企業見て、「うちの会社もやらなきゃ」ってなると、「セミナーやります?こっちは有料ですが」みたいな仕組みです。

福田:プレミアムモデルを巧みに入れながら。確かにそのほう入りやすいですよね。

安藤:そうなんです。最初から有料にしちゃうと、企業の決済で時間かかる。イクボスの考え方を広めるには企業の数をまずは増やしました。そして社長のコミット、宣言をしてっもらうことで社内外に「働き方改革やりますよ!」ってメッセージが広がる。そのライバル企業も「じゃあうちもやるか」ってなるんです。もちろん加盟しても、ここから先は全然突破できない企業もやっぱり多くって。担当者はすごく燃えているんだけど、現場に浸透せずに止まっちゃう企業もまだまだ多いんですが。

福田:僕の会社(ソニー・デジタルエンタテインメント社の時代)、電通よりずっと小さいですけど、働き方改革で成功していると思っています。3年ぐらい前からかな、給料上げているんですよね。

安藤:そう! そこやらないと働き方改革って意味がないんですよ。

福田:仕事できないヤツも上げるのかって質問あるんですけど、上げるんですよ。のろい、遅いとか、ピンと来る、来ないとかってあるかもしれませんけど、それはうちの会社の勝手な需要だろって。最近は、プレミアムフライデー以外に水曜日の午後も休みとかって不定期にやっています。今年だと6日間ぐらいあるのかな。カレンダーに載っていない休みが多過ぎて、間違って出社する人が現れる始末なんですよ。
それで何が起きたか。この5年間増収増益ですよ。絶対自信があったんですよ。この業種だからかもしれませんが、知識が付いて人脈増えて、外に友達たくさんいるほうがアイデア湧くし、ブレーンもできるし、悪いこと何もないんですよ。「10時に帰れ」って電気消すために局長が残っている大手広告代理店って、何百年前の企業だって思っちゃう。みんなもともと地頭いいわけですよね。クライアントが夜の10時に電話かけてきて、「明日の朝までに案を出せ!」って言われたらどうすんだとか聞きますが、アフターファイブは、メールも見なければ、電話も出ないんですよ。毎回いなければ、クライアントも電話してこない。うち、9月1日から全員スマホを会社貸与に切り替えたんですよ。会社から帰宅するときは置いてかなきゃいけないんです、出張の人以外。だから何もプライベート時間を邪魔するものはない。

安藤:そういうことですよね。

福田:出ずに怒られているのかもしれませんけど、知らないですよ。寝ている間どうするんだとか、トイレに行っている間どうすんだとか、ないでしょ。全部貸与にしたら、会社のコストは増えますよ。でもいいじゃないですが、そんなの大したコストじゃない。

安藤:素晴らしい。

福田:営業マンが一番抵抗するんですよ。ここにお客さんの番号が入っているからって。だったら、移せばいいじゃない、スマホを置いていくのが嫌みたいですね。置いていけば、仕事のこと忘れて遊びに行けて、こんな最高なことないと思いません?

安藤:ハッピーな強制力っていうかね。

福田:仕組みができるわけだよね。トリンプみたいに7時になったら電気消すとこだって、ちゃんと素晴らしい業績あげてます。

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