多様性を認められない国は駄目
安藤:イクボスも働き方改革も浸透するまで時間かかります。イクボスは漢方薬なんです。長年身に付いちゃった働き方、僕の講演1回聞いただけで変わんないでしょって。でも、まさに福田さんがいろいろやっている業務改善のアイデアみたいな、こういうコミュニケーションを繰り返しやってくださいと。失敗もあるかもしれないけど学習していく。部下たちはそれをやっているボスの姿勢を見ていますから。
福田:そうかもしれませんね。
安藤:そこで、何かこの会社変わりそうだなって予感すると、もうちょっと頑張ってみようかなとか考えるようになります。要するに、会社にぶら下がらなくなる。自立的になっていくんです。働き方改革は他律から自律への変化。ここに持ってかないと、結局うまくいかないんですよ。
福田:そこですよね。
安藤:働き方改革で間違ったメッセージ出しちゃうと、結果出さないで権利主張ばっかり言う社員が増やえちゃうんです。部下にとってただお得なだけのボスになっているだけなんです。会社から言われて労働時間短縮するため、単に「早く帰れ」としか言わない。
福田:追い出し係みたいなね。
安藤:でも、せっかく出来た時間で何するかが大事。遊ぶとか育児とかライフを充実させていくことでモチベーションとかやる気が上がる。ライフが楽しければその時間が待ち遠しいから結果、仕事も工夫して時短になる。効率が上がって会社の生産性もよくなるんです。そういう循環ができると働いてることが楽しくなるので、アイデアも生まれイノベーションが起きる。それで業績上げ、社員の給料も増やすのがイクボス。「個人のライフと組織と社会を育てること。それがイクボスの醍醐味ですよ」ってセミナーでは言ってます。
福田:さっきの自立型についてですが、アメリカだったらリーマンショックの後、日本の場合は震災以降ですかね、大企業に勤めていることが前ほどステータスでなくなったんじゃないかって時代の気分を感じるんですね。大きい会社にいたら安定した収入あるかもしれないけど、一方では自分で何も決められず、やり甲斐がない。僕も大阪出身ですが、台湾とか関西の人って1人社長みたいな人が多いじゃないですか。規模ちっちゃいかもしれないけど、むっちゃみんな生き生きしていますよね。明日の保証はないけど。
安藤:そう、自分の会社作ればフリー。自由を手にできる。
福田:何で大きな組織が必要だったのか。ものづくり中心の20世紀型だったからですよね。冷蔵庫でも車でも絶対欲しいわって必ず買うお客さんがいたので、大量にモノ作り、ひたすらその繰り返しだったんです。規律がいるよねって9時5時になって、制度があって、ピラミッドができたんですけど。でも、クラウドファンディングでいいもの1万個だけ作ろうかって時代、Twitterのようなひと言で上司を倒せる武器が出た時代に、本当にあなたのやっているサービスに会社組織が必要なのかと、経営者も自問自答してほしいものです。
安藤:組織に所属していることが、ある意味逆にリスキーな時代ですよね。
(後篇へ続く)